「オンライン薬局」展開に成功したAmazon…QOLのすべてを支える時代が到来【DX事例】

「オンライン薬局」展開に成功したAmazon…QOLのすべてを支える時代が到来【DX事例】

トピックとしては広く浸透したDX。実際の取り組みに対し、評価するタイミングに差し掛かっています。DXによって収益化できている企業とそうでない企業は何が違うのか、そもそも変革できたのか、どこで差がついたのか……今回は「患者のQOL向上にシステムを実現したオンライン薬局」のほか、「実物をみるより「広範で的確な買い物」を実現した家具のオンラインショップ」の2つのDX戦略事例をみていきます。

 

実物をみるより「広範で的確な買い物」を実現した事例

購入後をイメージできる家具のオンラインショップ

■事業:Wayfair(ウェイフェア)

■運営:Wayfair Inc.

 

写真や画像で欲しい家具を探せて部屋にフィットするかどうかをARシミュレーションで確認できるサーチ/イメージシステムの提供

 

[図表2]Wayfairと利用者の関係

 

〈ビジネスモデルの概要〉

Wayfairは、2002年に設立された家具のオンラインショップです。本社のある北米と欧州をカバーエリアとしています。そのビジネスモデルとしての差別性は、家具に特化したサーチ/イメージシステム(ARによるシミュレーション)を実装し、実店舗で実物を見るよりも広範かつ的確な買い物を実現したことにあります。

 

第一に、オンラインショップであるがゆえに、実店舗よりもはるかに多くの商品を並べられます。取り扱いが増えると、その分だけ欲しい商品を見つけるための手間もかさむわけですが、Wayfairであればビジュアルサーチで自分のイメージに合ったものを即座に見つけ出せます。コーディネートレコメンドの機能を利用して、複数の家具を組み合わせたインテリアデザインを検討することも可能です。

 

購入にあたっては、スマートフォンのカメラを使ってその家具を部屋に配置したときのイメージを確認できます。「部屋の雰囲気に合うか」「今あるほかの家具と調和するか」といったインテリアとしての統一感は当然のことながら寸法も計測できるため、「大きすぎて搬入できない」「想像よりも小さすぎる」といった間違いを防げます。

 

Wayfairは、これらの機能を世界に先駆けて導入することで、実店舗のみならず、他オンラインショップとの比較においても先行者優位性を確立することに成功しました。米国のEC市場はAmazonが約4割のシェアを有していますが、家具に限ってはWayfairがAmazonに勝るとも劣らない規模の売上を得ているのです。「先んずれば人を制す」の好例といってよいでしょう。

 

進化の方向性

現状、Wayfairはあくまで膨大な商品の中から欲しい家具を見つけられるオンラインショップに過ぎません。しかし、スマートフォンのカメラを使って部屋のレイアウトを把握できれば、逆に購入すべき家具を提案することも可能ではないでしょうか。家族構成やライフスタイルなどの情報を取り込むことで、提案の的確性を高めることも十分に考えられます。

 

家具を販売するだけではなく、買い取ったり、レンタルで提供したりすることも一考に値します。スマートフォンのカメラで家具の状態を把握し、適切な価格での再流通を仲介できるようになれば、サーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に貢献する企業として存在価値を高められるはずです。

 

 

小野塚征志

ローランド・ベルガー 

 

 

本記事は、小野塚征志氏が監修した『DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略』(インプレス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

小野塚 征志

インプレス

最先端のDX事例を完全図解! &ビジネスに落とし込むためのヒントが満載! 「DX」はトピックとしては広く浸透しました。そのため、どんな事例があるか、どう取り組むか、どう経営に取り入れるかといった情報は語りつくされたと…

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