(※写真はイメージです/PIXTA)

一般皮膚科、小児皮膚科、美容皮膚科の医療を網羅的に提供するクリニックを運営している現役皮膚科ドクターが、皮膚に関する「疾患」「美容」「予防」などについて解説します。今回は、「赤ら顔」について。「赤ら顔」になる症状の原因、およびそれぞれの治療方法を見ていきましょう。

案外多い、「赤ら顔」の相談

保険診療メインの皮膚科の病院・クリニックで診療していると、「繰り返し顔が赤くなってしまう」「かゆくはないのだけれど顔に赤みが続いて気になる」などの相談をお受けすることがあります。

 

赤ら顔、教科書的には「酒さ(しゅさ)」という病気を指すのですが、実際は、患者さんたちは顔に赤みをきたしている状態を「赤ら顔」と認識されており、「酒さ(しゅさ)」以外の疾患が混じっていることも多い印象があります。

 

かゆみはないので困っているわけではないが、なんか気になる「赤ら顔」。

 

受診される患者さんには、こんな症状で病院を受診してもいいものかとお思いの方や、いくつかの病院を受診するたびに違う疾患名を告げられて戸惑っている方も多い印象ですので、そんな方のお助けになるような記事を書けたらなと思っております。

「赤ら顔」の原因は? 主な3種類の疾患で解説

「赤ら顔」になる疾患には酒さ(しゅさ)、酒さ(しゅさ)様皮膚炎、脂漏性(しろうせい)皮膚炎などがあります。

 

「酒さ(しゅさ)」は、何らかの原因で慢性的な炎症が起こり、顔に赤みが生じます。主に中高年によくみられ、鼻や頬、額、顎に血管の開きによる赤みやほてりが繰り返しあらわれ、次第に顔の赤みが続くようになります。

 

ニキビのような発疹が鼻にでき、かたまりをつくり、皮膚がみかんの皮のように凹凸になることもあります。紫外線やストレス、飲酒、刺激物の摂取などで悪化すると言われています。

 

一方、似た名前の「酒さ(しゅさ)様皮膚炎」はステロイド外用剤による副作用のひとつで、ステロイド外用剤を塗った部分に赤みや血管の開き、かさつき、ごわつきが生じます。進行するとかゆみや灼熱感を生じることがあります。

 

「脂漏性(しろうせい)皮膚炎」は生え際やおでこ、鼻周りなど皮脂の分泌の多い部分にフケ、赤みを生じるもので、新生児・乳幼児期に生じるものは一過性でスキンケアにより治癒しますが、成人型は一度発症すると繰り返すこともあります。

 

40〜50歳代以降の男性に多く見られると言われており、皮膚に常在しているマラセチア菌が皮脂中の成分を分解し、その際に生じる物質が皮膚に刺激を加えることで発症・悪化すると言われています。紫外線やストレス、皮脂の分泌の増加、乾燥、ビタミンB群の不足が関係すると言われています。

 

その他にもニキビの炎症が続いて赤ら顔になる方、化粧品が刺激となり「赤ら顔」になる方、まれにカビやニキビダニにより「赤ら顔」になる方など、ひとことで「赤ら顔」と言っても、原因はさまざまです。

 

「こんな症状で病院にかかっていいのかな…」とお悩みの方は、一度皮膚科で相談してみてはいかがでしょうか。

症状によって異なる…「赤ら顔」治療方法の種類

「赤ら顔」の治療は疾患によって異なります。また、同じ疾患であっても症状の強さによって治療が異なることもあります。

 

「酒さ(しゅさ)」では、ニキビのような発疹やほてりのある方にはメドロニダゾール外用剤が有効ですが、軽く赤みのあるだけの方が同じお薬を使用すると刺激になってしまう場合もあります。また、日頃日焼け止めを塗る習慣のない男性の患者さんでは、紫外線予防を心がけることで、症状が軽くなることもあります。

 

「酒さ(しゅさ)様皮膚炎」ではステロイド外用剤を中止することが必要ですが、「脂漏性(しろうせい)皮膚炎」にはステロイド外用剤が有効とされており、顔に赤みをきたす疾患の治療法は患者さんによってまったく異なります。

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