「腫瘍マーカー」はがんの早期発見に効果なし?「人間ドックのオプション」は付けるべきか【現役医師が解説】

岡田 有史
「腫瘍マーカー」はがんの早期発見に効果なし?「人間ドックのオプション」は付けるべきか【現役医師が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

人間ドックを定期的に受けている人は多いと思います。そんな時、オプションを付けるかどうか悩んだことはありませんか? 総合内科専門医で日本スポーツ協会公認スポーツドクターの岡田有史医師に、人間ドックの代表的なオプションである「腫瘍マーカー」について、金銭的な面も含めて解説していただきます。

オプションは必要? 人間ドックを受ける時に気を付けたいこと

皆さまは健康診断(健診)や人間ドックは受けていますか?

 

働いている会社で健診があるから何となく受けている人もいれば、健康への意識が高く毎年欠かさず人間ドックを受けている人もいるかと思います。

 

反対に「有名人が健診を受けていたにも関わらず、進行した状態のがんが見つかった」なんてニュースが時々流れたりするため、「健診なんて受けても意味がないのでは?」と感じる人もいるかと思います。

 

実際に診療をしていると、若い人でもかなり進行したがんが見つかったり、高血圧を放置していたため脳出血を起こしたりする方は少なくありません。そのような患者さんを見る度に、健診を受けていればここまで重篤な状況にならなかったかもしれないのに、と思ってしまいます。

 

ですので、私としては健診や人間ドックは是非受けていただきたいと思っています。ただ、健診や人間ドックを受ける際には何点か気を付けていただきたいことがあるため、今回はそれについて書きたいと思います。

 

健診や人間ドックを受ける目的としては、無症状のまま進行する病気や、重大な疾患に繋がる病気を早期に発見し、適切に治療できるようにすることです。健診のターゲットとなる病気としては、各種がんや高血圧、糖尿病などの生活習慣病などが挙げられます。

 

ちなみに健診には法的に定められているもの(企業の健診や自治体での住民健診など)と、任意で行われているもの(人間ドックなど)があります。

 

法的に定められている健診では調べる内容もある程度決まっていますが、人間ドックのような任意型健診では、基本の検査項目(身体測定、尿検査、血液検査、レントゲン検査、心電図など)に加えて、目的に応じた様々な検査(腫瘍マーカー、肝炎ウイルス、骨密度、脳ドック、PET検査など)をオプションとして追加することができます。

 

人間ドックなどの健診事業は病院経営において重要な収入源であり、病院側としては人間ドックの追加オプションを積極的に勧めるわけですが、その中には有効性に関するエビデンスが乏しいもの、その患者さんにとって必要性の低いものや、それどころかむしろ推奨されていないものも含まれているのが現実です。

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