不動産投資家がローン利用の際に加入する「団体信用生命保険」。仕組みや注意点とともに、メリット・デメリットを詳しく解説します。
不動産投資家が加入する「団体信用生命保険」…メリット・デメリットを解説

団体信用生命保険の役割と仕組み

団体信用生命保険は、不動産投資ローンを利用する際に加入する保険です。申込人が亡くなる、もしくは高度障害などによって返済が困難になったときに、ローンの残債が保険金で返済されます。家族にローンの支払いが残らないため、大きな金額を借りるローンではとても心強い保険です。

 

また、投資物件の家賃収入は続くため遺族の経済的な支えになります。さらにローンがなくなれば、物件を自由に売却し現金化もできます。この団信の仕組みが、不動産投資に生命保険効果があるといわれる理由になっています。

 

「団信」と「生命保険」の違い

団信は生命保険の一種ですが、もちろんまったく同一のものではありません。そこで、団信と生命保険の違いについて5つのポイントで解説します。

 

保険料の支払い

生命保険では決められた保険料を毎月銀行引き落としなどで支払いますが、団信は毎月のローン返済で保険料が上乗せされた金額を支払います。ローンの借入金利に団信の保険料分を金利として上乗せしているため、引落時に返済分と団信分がわけられるわけではなく、ローン返済として一緒に引き落とされます。

 

後述しますが、団信にも生命保険のように特約を付けることができます。特約を付けた場合は団信の保険料も上乗せになるため、その分もローン金利にも上乗せされる形となります。

 

年齢や男女別による保険料

年齢や男女別など、個人の属性によって保険料が異なるのが生命保険の基本です。それは、人それぞれによってリスクが異なるからです。しかし団信にはそういった個人の属性による違いはなく、保険料は一律です。

 

一般的に年齢が高くなると病気になったり亡くなったりするリスクが高くなります。そのため、年齢が高くなってから生命保険に加入すると保険料が高くなりがちですが、団信であれば年齢による保険料の違いもないので、年齢が高い人は生命保険よりも不動産投資の団信を活用したほうが有利になります。

 

保険金の受取人

団信はローン返済中の人が返済困難になってしまった場合の備えとして加入する保険です。ローンの返済が困難になった際に最もリスクをかぶることになるのがお金を貸し付けている金融機関なので、団信の保険金受取人はローンを借り入れている銀行やローン会社などの金融機関です。これだと加入者(つまり物件オーナー)にメリットがないように思われるかもしれませんが、本来であれば引き続き返済する必要がある残債を団信で清算できるため、残債の金額によってはとてもメリットの大きい仕組みといえます。

 

保障される期間

生命保険の保障期間は、加入者が自由に選ぶことができます。定年退職をするまでの期間であったり、一生涯であったり、といった具合です。その保障期間のあいだであっても状況に応じて保障額を調整することも可能です。これに対して団信はローンの残債を清算することに特化した保険なので、ローンの返済期間がそのまま保障期間となります。

 

資金的な余裕があってローンの繰上げ返済をした場合であってもローンが残っている限りは、保障も継続します。逆に繰上げ返済によってローンを完済すると、その時点で保障は終了します。

 

生命保険料控除

生命保険の保険料は、控除の対象になります。年間に支払った保険料を所得から控除できるため、生命保険を節税に活用することも可能です。これに対して団信には、保険料の控除がありません。その理由は、あくまでも保険料を支払っているのは金融機関であり、加入者は金利が上乗せされたローンの返済をしているだけだからです。加入者本人が保険料を直接支払っているわけではないため、団信の「保険料」を控除することはできません。