不動産は経済市場の変化にも強いことから、インフレ対策に良いと昔からいわれてきました。しかし、長いデフレ経済の中で育った30~40代くらいには、インフレ時に不動産投資をするメリットは、なかなかイメージしにくいのではないでしょうか。そこでインフレと不動産の関係性と、なぜ不動産投資がインフレ対策になるのかなど、解説していきます。
不動産は「インフレ」に強いが…不動産投資のインフレリスクを解説

インフレと不動産との関係性

インフレと不動産との関係性を、経済にあまり詳しくない方でもわかるように、やさしく説明していきます。

 

インフレとはなにか

インフレ(インフレーション)とは、モノやサービスの価値が上がり、お金の価値が下がることです。たとえば、今コンビニで1個100円で売られているおにぎりがあり、この価格設定でおにぎりと金額が釣り合っているとします。

 

数年後、このおにぎりが1個200円になると、今の2倍のお金を出さないとおにぎりを買えないことになりますので、おにぎり(モノ)の価値が上がったということになります。これが、インフレーションです。

 

一方でその逆を、デフレ(デフレーション)といいます。日本は長い間、デフレ経済でしたので、現在30~40代の方々は、日本経済の冷え込んだ時代に社会人になった日本人ということになります。

 

この年代よりも上の世代の方の多くは、日本の経済成長とバブル時代までを経験しているため、インフレと不動産と聞くと「ああ、儲かるね」と、自分が投資をしたことがなくても、インフレ時に不動産に投資をすると、どういう結果を得られるかを知っています。

 

インフレは、景気が拡大している時に起こりやすくなりますので、逆の見方をすれば物価高になるということは経済が活発化しているということでもあります。インフレは以下のようなサイクルで成長していきます。

 

景気が良くなってくると企業が給与を上げるため、人々のお財布は潤うようになります、世の中には、使ってもらえるお金がたくさんある状態ですので、企業は「値段を少し上げても大丈夫かな?」と様子を見ながら、少しずつモノやサービスの値段を上げていきます。

 

物価が上がっても、給与が上がるのが追いついている間は、少しくらいモノの値段が高くなっても人々は引き続き購入を続けてくれますので、モノやサービスの値段が上がり続けて、インフレとなります。

 

※過日の黒田日銀総裁の「家計は値上げ許容」発言は、このインフレプロセスのことを言及したものですが、言葉が足りなかったため、失言と受け取られました。

 

しかし、インフレになるとお金の価値が下がるので、資産としてお金ばかり持っている方は資産が目減りしないように何らかの対策が必要になります。

 

一般的に、インフレ対策には不動産購入か不動産投資が良いといわれています。

 

インフレと不動産

不動産はモノですので、インフレ時には不動産価格が上昇します。土地、投資用不動産、マイホームに関わらず、不動産の価値自体が上がりますので、不動産を購入すると預金などの金融資産の目減り分をカバーすることができます。同じようにインフレ時に価値が上昇する資産には、金があります。

 

しかし、マイホームの場合は自分が住んでいますし、金は預けておくか金塊で持っているしか利用方法がないので、マイホームや金から直接的に利益を得るには、購入したときより価格が上がった時に売却する方法以外ありません。

 

そのため、ただ不動産や金を買うという方法は、インフレ時に資産価値を増大させ、自分の資産を守るという意味では優れていますが、そのままでは収入が増えないタイプの資産になってしまいます。

 

その点、同じ不動産でも、不動産投資という形で物件を所有すると、持っていた預金は不動産という形のある、預金よりも価値の高い資産に変わり、さらに所有物件から家賃収入を得ることができます。

 

借り入れたローンも、家賃収入から支払いをしますので、誰かにローンを支払ってもらいながら、月々の手取りを増やすこともできます。また、インフレが続いている間は、不動産の資産価値は上昇し続けますので、保有した後に売却をして、まとまった金額の差益も期待できます。

 

世界中がインフレなのはなぜか

現在、日本だけではなく世界がインフレになってきています。もともと少しずつインフレは進んでいたのですが、最も大きな理由は2020年に始まったコロナ禍をきっかけに、世界の流通が不規則な動きをしたことでしょう。

 

世界的な半導体不足と原油高騰で物資の供給が停滞し、同時に感染防止のために世界各国の工場の稼働が未だに通常通りではありません。コロナが収まりかけると、今度はウクライナの問題が起きたため、流通のイレギュラーは修正できていません。

 

その結果、モノがあっても安定供給ができない状態が続いており、モノの価値が上がって、世界的なインフレにつながりました。

 

一般的に、インフレになって物価が上昇すると、世の中にたくさんのお金が溢れすぎないように、金融機関は金利を引き上げてお金の量をコントロールします。

 

アメリカをはじめ世界各国では、現在のインフレに対抗するため、金利引き上げをしながら対策をしています。しかし日本は現在、金利引き上げをしていないため、相対的に円安というポジションを取ることになっています。

 

コロナはまだ完全に収束をしたわけではなく、さらに、ウクライナ問題などにより世界の流通は不規則な状態がデフォルトになりつつあるため、今後すぐにインフレが収まる可能性はかなり低いといえるでしょう。

 

インフレ×円安だと不動産はどうなるのか

インフレ×円安が続く日本国内においては、モノやサービスの値段がどんどん高くなっていき、お金の価値がどんどん下がっています。

 

不動産はモノですので、インフレになるとマイホームや投資用不動産に限らず、不動産の価格全体が上昇します。つまり、今から不動産を所有しておくと、インフレがデフレに変わるまでは、不動産価値が上がり続けますので、ただ持っているだけで資産価値の増大が期待できます。

 

特に、中古不動産はインフレによる資材高騰の影響を受けませんので、インフレ×円安の時代は、中古マンションを中心として不動産投資でインフレ対策することができます。