不動産投資家がローン利用の際に加入する「団体信用生命保険」。仕組みや注意点とともに、メリット・デメリットを詳しく解説します。
不動産投資家が加入する「団体信用生命保険」…メリット・デメリットを解説

団信のメリット・デメリット

団信には万が一の事態になってもローンの返済義務がなくなるなどのメリットがありますが、その一方でデメリットもあります。ここでは団信のメリットとデメリットを整理しておきたいと思います。

 

団信のメリット

団信のメリットは、おもに2つあります。

 

■ローンが返済不能になっても残債の返済義務がなくなる

団信の最大のメリットにして、最大の役割は、ローンを返済している人に万が一の事態が起きたときにローンを完済できることです。ローンを借り入れている人や家族(遺族)にとっては残債のない収益物件が残りますし、金融機関にとっても回収不能を回避できるため、双方にメリットがあります。

 

■所得税の納税義務がない

団信の保険金によって残債のない不動産が残るということは、それを受け取る人には経済的利益が発生します。この利益のことを、債務免除益といいます。普通の生命保険であれば満期の一時金などを受け取ると所得が発生したとして所得税の課税対象になるのですが、団信で得られた債務免除益には所得税の課税義務が発生しません。

 

団信のデメリット

一方で団信のデメリットとして考えられることは、おもに次の3つです。

 

■保険料の所得税控除はない

すでに解説しているように、一般の生命保険で払い込む保険料に対しては所得税の控除が認められますが、団信の場合は控除の対象外です。なぜなら、団信は金融機関が保険料を払い込む保険であり、ローンの借り入れをしている人は団信の保険料分を金利として上乗せされた分を返済しているだけだからです。直接の契約者ではないため、団信の保険料は控除の対象にはなりません。

 

■生命保険と比べると保障内容は手厚くない

生命保険は死亡保障だけでなく、医療保障や入院保障など、実に多彩な保障を選ぶことができます。時代の変化に応じて必要性が高まっている保障を選べるようになっているなど商品としての完成度は高いですが、団信にそこまで手厚い保障は期待できません。理由は簡単で、団信の目的は返済不能になってしまった際のローンの完済だからです。金融機関にとってはそれ以上の保障を求めるものではないため、そもそも生命保険と団信は目的が違うことを念頭に置いておきましょう。

 

■健康状態によっては加入できないことがある

団信は生命保険の一種であり、保険を引き受けるのも一般の生命保険を販売しているのと同じ生命保険会社です。生命保険では持病や既往歴があると保険に加入できなかったり条件が厳しくなったりするといったことがありますが、それは団信でも同じです。団信に加入する際には健康状態に対する告知が必要で、その内容によっては加入できないことがあります。