「リノベーション」と「リフォーム」の大きな違い
リフォームは、古く劣化した部分を修繕し、あくまでも元の姿に近づける回復工事です。もちろん何も手を加えないよりはよいですが、そこに入居者を引きつけるものが感じられなければ集客力を高める効果は期待できないでしょう。たとえば駅から近いことや家賃が安いなどの付加価値がない限り「マンションの古くなった部分を修繕した」と捉えられる可能性が高く、結局は新しい物件に負けてしまいます。
リノベーションは単に劣化した部分を原状回復させるだけでなく、その部屋に新しい価値を加える工事です。リノベーションの業界団体であるリノベーション協議会は、リノベーションのことを「中古住宅を現代のライフスタイルに合った住まいによみがえらせること」と定義しています。
たとえば壁紙や照明をスタイリッシュなデザインに変えたり、内装にカフェ風やリゾート風などの新しいテイストを加えたりします。入居者の住みやすさにつながるように間取りを使いやすく変えるなど、さまざまな価値を生み出すこともリノベーションなら可能です。
また、床材などの素材を経年劣化に強い本物素材へ刷新するロングライフリノベーションを行えば、より長く価値が変わらない物件へと生まれ変わらせることもできます。入居者の感性に訴え「住みたい」と感じてもらえる価値を加えることが、リノベーションがリフォームと大きく異なる点です。
付加価値が心に響き「少し高めの家賃を払ってでも住みたい」と感じてもらえれば、常に入居者の絶えない理想的な賃貸物件になります。リノベーション投資を成功させるにあたって、まずはこのリフォームとリノベーションの決定的な違いを十分に理解するようにしましょう。
リノベーションするメリット
中古マンションを仕入れてリノベーションをすることによって得られるメリットは、主に3つあります。
■リノベーション工事をしても新築マンションよりも安くなる
多くの人が中古マンションに対して真っ先に感じる魅力といえば、価格の安さでしょう。新築より安く購入できることは容易に想像がつくと思いますが、その中古マンションにリノベーション工事をしても新築よりも費用を抑えられることが多く、「中古でありながら新築よりも安く新築に近い物件を仕入れられる」ことは投資家目線でとても重要なメリットです。
■利回りを高くしやすい
不動産投資の利回りは、以下の計算式で求めることができます。
ここで表面利回りとなっているのは、年間の家賃収入を取得費用で割ったもっともシンプルな指標だからです。物件を維持するための諸経費やローン返済などを差し引いてから計算する実質利回りもありますが、ここではあえて話をシンプルにするために表面利回りを用いて解説します。
上記の計算式を踏まえると、分母にあたる物件取得費用が大きくなると利回りは低くなります。逆に分母が小さくなると利回りは高くなります。中古マンションはリノベーション工事をしても新築マンションよりも安くなることが多いのですから、リノベーション投資は利回りを高くしやすい手法といえます。
■入居者の趣向に合わせた物件づくりができる
マンションに入居する人の趣向にも、トレンドや価値観の変化があります。数十年前に建てられたマンションが古く見えるのは、単に建物や設備が古くなっているだけでなく「流行遅れ」にみえてしまっていることも大きな理由です。
たとえば、いくら内装を美しく再生したとしても古いマンションの一部で見られるような和式トイレであれば、やはりそれを理由に敬遠する人は多いでしょう。現在では技術的な向上によって、リノベーションの選択肢はとても広くなっています。高いレベルで構想を形にすることができるので、いまの入居者に支持されるように柔軟な物件づくりが可能です。