「とにかく体調が悪い」の原因は≪低栄養≫かも。血液検査の「低い値」に要注意【歯科医師が解説】

血液検査データーに潜む《低栄養》の足音

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「とにかく体調が悪い」の原因は≪低栄養≫かも。血液検査の「低い値」に要注意【歯科医師が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

現代人はなぜこうも体調不良の人が多いのでしょうか? それはいつも食べているものに原因がある可能性が高いといいます。吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック代表・吉田格氏が、飽食の時代にこそ注意すべき「低栄養」について解説します。

低栄養の改善は胃腸から

Aさんはすでに数件の医療機関にかかっていることもあり、私たちは混乱を避けるために脇役に徹することにしました。サプリメントなどの積極的なアプローチはできるだけせず、歯の治療と並行してカウンセリングと食事改善の提案を始めます。

 

便秘と下痢を繰り返しているということは消化吸収機能が落ちているわけですから、このままではいくらタンパク質を増やしても吸収されません。そこで消化酵素剤だけは使ってもらうことにしました。これで食材に含まれる僅かな栄養素も、吸収される率が上がります。もちろん禁酒もしてもらいます。

 

タンパク質は噛む歯がないので肉は勧められず、卵や豆乳を徐々に増やしていくように話しました。

 

急に増やすとかえって不調を助長することがあるので注意して増量するように言っていたのですが、精神不安も大きかったせいか緊張で胃腸が動かせず、許容量をオーバーして再度下痢と便秘を繰り返す時期もありました。

 

そこでカウンセリングを続け、精神不安を和らげることが重要になってきます。

 

胃腸はリラックスした状態で十分動くようにできています。ストレスがある状態では食物を後ろに押す力(蠕動〔ぜんどう〕運動と言います)が弱く、また胃酸や消化酵素もよく出ません。これではいくら食べてもその栄養は利用できません。

 

特にタンパク質は消化できなければ腸内で腐敗し不快感がでるので、しだいに避けてしまう傾向にあります。すると慢性的にタンパク質が不足したまま、代わりにパンや麺が増えて糖質過剰に…という構図が成り立ちます。

 

このように低栄養とは、摂取不足だけが原因ではなく、人間関係など社会的な背景がストレスとして絡んできます。

 

おそらく食事摂取基準とは、胃腸機能が正常で食べたものが問題なく消化吸収されることを前提にできているのだと思います。

 

しかし現実的にはAさんのように消化吸収能に問題がある人は多く、この基準を守っていれば良いとは思えません。少なくとも便秘や下痢が常態化している人にいきなり栄養を入れるとかえって問題になるので、さじ加減が必要になります。

 

推奨量を守っていれば良いという考えは、臨床では通用しないことが多いのです。

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。