歯科医院を訪れる「実は不調な患者さん」
歯科医院を訪れる患者さんの中には、実はさまざまな体調不良を持ったまま治療に入っている人が大勢いらっしゃいます。そんな人は長時間の治療に耐えられなかったり、途中で挫折し治療を中断したり、中には問題行動を起こす人もいらっしゃいます。
現代人はなぜこうも体調不良の人が多いのか、それはいつも食べているものに原因がある可能性が高いのです。あなたにも忍び寄る、まさかの《低栄養》について解説します。
Aさんは知人の紹介でいらっしゃった、20歳台前半の女性でした。
見れば背中は丸くここに来るのにも辛そうな姿で、呼吸は浅く眉間に皺を寄せ、受け答えは曖昧…などかなり危ない感じです。この年齢にしてムシ歯による歯の欠損が多く、生活にかなりの乱れがあるようです。聞けば朝はどうしても起きられず、昼過ぎになってようやく動くことができるそう。
すでに複数の内科・心療内科・漢方薬局にかかっており、抗うつ剤や胃腸薬など10種類近くもの薬が出されていました。副作用もあり、とても全部は飲めないという、今で言うポリファーマシーの状態でした。
治療を進めようにも案の定予約時間がまったく守れず、他の患者さんの迷惑にもなるので、しだいにスタッフから問題視されるようになってきました。
後からわかった話ですが、同じ理由で出入り禁止になった美容院やネイルサロンもあったそうです。
私もどうしようかと思ったのですが、本人は痛みもあるし治療したいとのこと。それならもっと真面目に来ればいいのに、これは何か別に原因があるのではないかと薄々感じるようになりました。実はこれが最近よく聞く「副腎疲労(ふくじんひろう)」と呼ばれる病気であると知ったのは、それから数年後のことでした。