猫1匹を抱き上げるだけで、約200kg以上の負荷が!?
では、どのぐらいの負担が腰椎にかかるのでしょうか。
たとえば、生後3ヵ月の乳児、もしくは成猫などの5kg相当を抱き上げれば約200kg(ライオンの重さ)以上の負荷が、入園児、中型犬などの約20kg相当のものを持ち上げれば、約400kg以上(馬の重さ)の負荷がかかりますので、おじいちゃん、おばあちゃんがかわいいお孫さんを抱きかかえるときは注意が必要です。さらに50kg(耐火金庫、小柄な成人女性)相当のものを持ち上げれば、700kg(軽トラ、成牛)相当の負荷が腰にかかると言われています。
これらの数値は「テコの原理」から求められたものですが、ぎっくり腰になる危険値が340kgと言われていますので、50kg以上の彼女をお姫様抱っこするときは命がけになります(コルセットをすれば、なんとかなるかも!)。
「腹腔内圧」のエアーバッグ機能で、腰椎の負担を軽減
しかしながら、人体は欠如した腰椎腹側筋の代用として「腹腔内圧」を上手く利用して、腰椎への負荷を軽くしています。腹腔内圧とはインナーマッスルで包まれた風船状の空間であり、具体的には上面が横隔膜、下面が骨盤底筋、後面が多裂筋、側面が腹横筋で構成されています。
エアーバッグ的な機能があり、脊椎が前方に傾くときに腹側より腰椎を支持して、腰背部筋の負担を軽減させる訳です。たとえば、重量挙げの選手は、この腹腔内圧を高めるためにベルトを使用しています。
まずは四つ這いの姿勢で…おすすめの腹横筋強化法!
そこで注目されているのがインナーマッスルの強化訓練で、とくに腹横筋が重要と言われています。私のお勧めは、四つ這いになって、お腹をゆっくりとへこましたり、広げたりするだけです。四つ這いになれば脊柱にも負担がかかりませんし、自分の腹の重さをハンモック状に支持する腹横筋が鍛えられるので、簡単で、安全で、合理的です。
具体的には、約5~10秒間お腹をへこまし、5秒お腹を広げることを4回、朝夕で大丈夫です。ぜひ、四つ這いになり「進化」を体感してください!
三上 浩
医療法人 医仁会
高松ひざ関節症専門クリニック 院長