文部科学省から教員採用試験の倍率が発表され、過去最低を記録した小学校をはじめ、物議をよんでいます。教員になんてなりたくない……。いつの間にか魅力のない仕事になってしまった「教師」。この先、明るい未来はあるのでしょうか。みていきましょう。
平均月給32万円で「夜中までクレーム対応」…メリットなんて1つもない「日本の教師」の惨状 (※写真はイメージです/PIXTA)

教員採用試験倍率、低下の一途…教室の質が保てない!

文部科学省が2021年度の教員採用試験について全国68の教育委員会を調査したところ、小学校教員の競争倍率は4年連続で過去最低を更新。教職のなり手不足は常態化、人材確保が急務となっています。

 

2021年度、採用者総数は3万5,067人で、前年度から192人増加する一方、受験者総数は13万4,267人で前年度から3,775人減少。全体(小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、養護教諭、栄養教諭の合計)の競争率(採用倍率)は3.8倍(前年度4.0倍)でした。

 

区分別にみていくと、小学校では前年2.7倍から2.6倍へと減少し、過去最低を記録。中学校も前年度5.1倍から4.4倍に減少しました。一方、高等学校では前年度6.1倍から6.6倍に増加しています。また都道府県別にみていくと、小学校で倍率2.0未満なのが15。最低が「佐賀県」で1.4倍でした(参考記事:『【画像】都道府県・指定都市別 公立学校教員採用選考試験結果』)。

 

【2021年度小学校教員採用試験倍率「2.0」未満の都道府県・指定都市】

1.4倍:佐賀県

1.5倍:福岡県、長崎県、富山県

1.6倍:大分県、山形県

1.7倍:広島県、山口県

1.8倍:福島県、秋田県、宮城県、山梨県

1.9倍:宮崎県、茨城県、福岡市

 

出所:文部科学省『令和3年度(令和2年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況のポイント』より

 

このような事態に陥った理由のひとつが、団塊の世代の大量退職。公立学校の年齢別教員数をみていくと、定年を迎え大量に退職する分を補えきれないというわけです。かつて教員採用試験は高い倍率を誇り、1999年の小学校教員の競争倍率は12.5倍にもなっていました。しかし大量退職、さらには受験者数の減少も加わり、倍率は2.6倍まで低下した、というわけです。

 

教員志望の人にとっては倍率が低いにこしたことはありませんが、子をもつ親としては教員採用試験の倍率の低下は気になるところ。現状の採用倍率では教員の質の担保は難しいとされているからです。教育の質の低下は日本の未来を左右することですから、教員採用試験の倍率改善は、実は緊急課題なのです。