文部科学省から教員採用試験の倍率が発表され、過去最低を記録した小学校をはじめ、物議をよんでいます。教員になんてなりたくない……。いつの間にか魅力のない仕事になってしまった「教師」。この先、明るい未来はあるのでしょうか。みていきましょう。
平均月給32万円で「夜中までクレーム対応」…メリットなんて1つもない「日本の教師」の惨状 (※写真はイメージです/PIXTA)

過労死ラインの労働環境で手取りはたったの24万~25万円

ただ「教員になりたい」という人自体が急減している、という事情も見逃せません。昨年、文部科学省が、教員らにツイッターなどで仕事の魅力を発信してほしいと始めた「 #教師のバトン 」プロジェクトに、現役の教師から過酷な労働環境を訴える投稿が相次ぎました。現役の教師からの「教師になんかなるな」という声が広く知られるようになったのです。

 

そのような騒動があったことで、少しは労働環境の改善がみられたのか、といえば、答えは「NO」。現場の教師からは悲鳴に近い声が寄せられています。

 

・コロナの影響で急な対応が多く疲労困憊

・教育とは関係のない事務作業が多すぎる

・休みも部活などの対応で休みがない

・夜中でも保護者からクレームの電話。対応で寝られない

・残業時間が恐ろしいことになっている

 

教師の劣悪な労働環境は2016年『教員勤務実態調査』でも、公立小学校で3割、中学校で6割の教師が過労死ラインである月80時間を超える時間外労働を行っていたと明らかにされています。それから時間だけがすぎ、そしてコロナ禍。環境改善はおざなりになっています。

 

想像以上に苛酷な環境だけに、見返りがあればいいのですが……文部科学省『令和元年度 学校教員統計調査』によると、平均給与は月額32万7,000円。手取りにすると24万~25万円ほど。国立校で33万3,200円、公立校で32万6,600円、私立校で35万2,300円。さすが大変なだけに高給取り……という印象を受ける人は誰一人いないような水準です。

 

やりがいだけでは、もうどうすることもできない状況。改善が難しいのであればその分報酬をあげるか、それとも働き方改革を急ピッチで進めるか。時間の猶予はありません。