事業者に起こりうるアクシデントに備えた制度設計
ただし、以上はあくまで、掛金を無事払い続けることができた場合の想定です。
一時的に事業がうまくいかなくなったり、健康を害して働けなくなったりして、掛金を支払うことができなくなったら、どうなるでしょうか。
もし、そういう場合に中途解約すると「任意解約」といって、20年未満だと元本割れしてしまいます。また、掛金を減額した場合も、差額分については元本割れしてしまいます。
しかし、安心してください。小規模企業共済には、そういう場合の救済手段が用意されています。
まず、資金繰りが厳しくなったときなどは、一時的に低利で貸付を受けることができます。利率は年0.9%~1.5%です。
また、以下の事情で掛金の支払いが難しくなった場合には「掛け止め」といって、半年または1年間、一時的に払い込みをストップすることができます。
・所得がない場合
・災害に遭遇した場合
・入院した場合
このように、小規模企業共済は、事業につきまとうアクシデントを想定した制度設計になっており、事業者が利用しやすい制度と言えます。
iDeCoとの比較・使い分けは?
先ほどお伝えしたように、掛金が全額所得控除となる制度には、小規模企業共済以外に「iDeCo」と「国民年金基金」があります。
そこで、小規模企業共済との違い・使い分けをどうするかが問題となります。
iDeCoと国民年金基金の掛金は両者を合算して6.8万円が上限となっており、どちらか一方か併用するか選ぶことができますが、ここではiDeCoとの比較を紹介します。
iDeCoとの違いはいろいろありますが、特に重要なのは以下の4点です。
【60歳より前に受け取れるか?】
・小規模企業共済:共済金の支払い条件をみたせば受け取り可
・iDeCo:原則不可(死亡時のみ遺族が「死亡一時金」を受け取り可)
【途中解約できるか?】
・小規模企業共済:可。ただし20年未満は元本割れ
・iDeCo:不可。ただし掛け止めは可
【事業が厳しくなった場合等の救済措置はあるか?】
・小規模企業共済:あり(低利での貸付制度、半年~1年間の掛け止めの制度)
・iDeCo:なし
【元本保証・運用実績の保証はあるか?】
・小規模企業共済:あり(3年以上の加入で確実に増える)
・iDeCo:なし(ただし大きく増やせる可能性あり)
このように、小規模企業共済は、iDeCoと比べると、事業者特有のアクシデントに配慮した制度として設計されている点、元本保証・運用実績の保証がある点等に特徴があります。できればiDeCoと併用し、確実性の高いリスク分散の方法として活用することをおすすめします。
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