就職氷河期と一括りにできない…極寒の2000年代前半
就職氷河期が置かれてきた「厳しい状況」は広く周知されているが、じつは就職氷河期と言っても一括りにはできず、「まだマシ」「困難を極める」など、かなり状況の苦しさに濃淡がある。
就職氷河期とは、1993年〜2004年に学校卒業期を迎えた世代を指す。高卒で社会人となったのは、1975年から1986年に生まれ、2022年時点で36〜47歳になる人たち、大卒なら、1971年から1982年に生まれ、2022年時点で40〜51歳になる人たちだ。とはいえ、いまの40代はだれもが「就職が厳しかった」という記憶を持っている。
学校を卒業するときも、有効求人倍率は常に「1」下回り、大卒でも、1万人以上がパートやアルバイトとして勤務することになった。2000年~2003年にかけては2万人を超え、大学就職内定率も91~92%まで低下するという、非常に厳しい状況だったのである。
【「一時的な仕事に就いた者」「大学就職内定率」の推移】
1997年:10,738人 / 94.5%
1998年:11,957人 / 93.3%
1999年:16,023人 / 92.0%
2000年:22,633人 / 91.1%
2001年:21,514人 / 91.9%
2002年:23,205人 / 92.1%
2003年:25,255人 / 92.8%
2004年:12,412人 / 93.1%
2005年:12,061人 / 93.5%
2006年:12,039人 / 95.3%
出所:文部科科学省『文部科学統計要覧・文部統計要覧』、厚生労働省資料より
※数値左:大学卒業者のうち一時的な仕事に就いた者の数、右:大学就職内定率
10年以上にわたる「就職氷河期」だが、2000年代に入ってからの数年は惨憺たる有様だった。そのため「就職氷河期前半」と「就職氷河期後半」は、まるで厳しさが異なっていた。いわゆる「後半」の人たちからは「〈前半の人たち〉と一緒にしてほしくない」との声も聞こえる。
「不本意な選択はしない」との決意が裏目に…
就職氷河期前半は、いわゆる「団塊ジュニア」であり、第1次ベビーブームで誕生した団塊の世代の二世である。1971年から1974年に生まれで、2022年に47歳から51歳になる。そして、本当に就職活動が厳しかった2000年から2003年の大卒の40代前半の人たちを、団塊ジュニアの下の世代ということで「ポスト団塊ジュニア」と呼ぶことがある。
希望の職種につけず、不本意な仕事を選ぶ人たちも多かった一方、「やりたいことをやる」と腹をくくり、自分の意思でパートやアルバイトを選択したうえで、資格取得等を目指す人も多かった。
当時の非常に厳しい社会情勢を背景に、ひたすら安定を追い求めて大手を目指した人もいれば、意識を高く持ち、あえて非正規を選びつつチャレンジングな選択をし、ビジネスの成功を掴んだ人もいる。
しかし、大手企業への就職も、ビジネスの創業も、実現・成功に至った人は少ない。努力がすぐに成功に結び付くほど、現実は甘くないということだ。将来の景気回復を見越して「とりあえず非正規」となったものの、まさかここまで景気低迷が長引くとは誰しも予想しなかった。雇用環境がマシになったところで、マネージメント経験のない中高年は会社からお呼びがかからない。不本意なキャリアのまま、やむなく非正規雇用のまま…というパターンは非常に多い。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、男性・40代前半・正社員の平均月収は44万6,200円、手取り33万~34万円、推定年収684万4,800円。一方、男性・40代前半の非正規社員は、月収25万6,100円、手取り20万円、推定年収322万5,300円。正社員になれた/正社員になれなかったで、手取りでは8~9万円もの差が開いてしまった。
非正規からの脱却を思い描きつつも、気づけば40代となり、逃れられない現実が目の前に迫ってきたという状況ではないだろうか。
「これ以上どうすればいいのか…」途方に暮れつつも、いまさら時間は取り戻せない。扱いにくい「キャリアなし40代」となったいま、正社員としての就職はさらにハードルが上がる。
当時、「不本意な仕事は選ばない」と腹をくくって非正規への道を進んだ人たちのなかには、深い後悔を抱えている人も少なくないのだ。
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