(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の利益は、原則「売上-費用」で求めますが、長期間の使用を想定した高額な機械等を購入すると、購入年度に巨額の費用が発生して赤字になってしまい、経理上の不具合が生じます。それを防ぐため、購入費用を数年にわたって案分する「減価償却」という経理処理を行いますが、その際、計上する費用と残る現金にズレが生じるという、興味深い現象が起こります。経済評論家の塚崎公義氏が平易に解説します。

生産量を絞っても、減価償却は「予定通り」に

ここまで毎年の生産量が1万個で一定しているという前提で記してきましたが、不況期に企業が生産を止めたら、減価償却の費用も不要なのでしょうか。これは考え方が2通りありますね。機械がすり減らないのだから減価償却は不要だ、と考えるか機械が錆びついたり時代遅れになったりする事を考えると減価償却は必要だ、と考えるか。

 

実際の企業の決算では、毎年の生産量とは無関係に「10年使う予定で購入したなら、毎年10分の1ずつ減価償却する」のが普通です。

 

場合によっては、1年目に多額の減価償却をして2年目以降は減価償却額を少しずつ減らしていくという決算方法もあります。

 

買ったばかりの時には1年間で機械の価値が大きく減少するので多めに減価償却をするけれども、10年目は機械の価値がそれほど減少しないので減価償却は少額でよい、という考え方に基づくものです。

 

この方が1年目の利益が小さく見えるので、法人税を払わなくて良いと考えて、この方法を使っている企業も多いようです。

 

ちなみに、この場合も生産量とは無関係に毎年の減価償却額が決まるという点では同じです。

 

今回は以上です。なお、本稿はわかりやすさを優先していますので、細かい所について厳密にいえば不正確だ、という場合もあり得ます。ご理解いただければ幸いです。

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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