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◆ ×高級住宅街 → ○邸宅街
「高級(住宅街)」というワードは古くから公取協がNGとしています。その理由は、それ以外の地域が「低級」であるかのような地域差別的な表現だからです。
そのため不動産広告では「高級住宅街」を「邸宅街」と言い換えて表現しています。
◆ ×最大 → ○最大級
「最大」という言い切りは、根拠を示すのが難しいためNGです。ただし語尾に「級」を付けることで断トツ感がいくらか和らぐため、「最大級」はギリギリOKです。
しかし、「最高」の語尾に級を付けても「最高級」はNGです。
◆ ×見下ろす → ○見晴らす
「見下ろす」は、「みおろす」だけでなく「みくだす」とも読めます。「最上階のバルコニーから低層住宅街を“みくだす”」となると地域差別感が出てしまいます。
タワーマンションや丘の上にある住宅など、高い場所からの眺望を表現するときは「見晴らす(みはらす)」というワードを使用すると嫌悪感なく受け入れられます。
◆ ×坂道 → ○ひな壇
坂道には登りと下りがあり、下りはスイスイ、しかし登りはキツいという印象があります。
坂道に変えて「ひな壇」というワードを使うことで、「キツい」というマイナスイメージをやや払拭することができます。
◆ △平坦 → ○フラット
坂道(ひな壇)の反対語は「平坦な道」です。しかし「平坦」という表現では不動産広告上ワクワク感が足りません。
そこで「フラット(な道のり)」や「フラットアプローチ」といったワードに置き換えられることが多いです。
◆ △閑静 → ○静謐
不動産広告で「閑静(かんせい=ゆったり落ち着いて静かな状態)な街並み」と表現しても問題ありませんが、これだけでは「人通りの少ない住宅街」程度のイメージしか湧きません。
そこで「静謐(せいひつ=静かで落ち着いた状態)な街並み」というワードに置き換えると、邸宅街に相応しい荘厳さが感じられるようになります。
◆ ×ドア・ツー・ドア → ○ダイレクトアクセス
過去は駅前に建つ住宅の広告で「我が家の玄関から最寄り駅までドア・ツー・ドア」といった表現が乱用されていました。玄関(ドア)を開けたら駅改札に出られるような表現は優良誤認に当たるため公取協でNGとされているのです。
交通利便性の高さを表現したい場合は、ドア・ツー・ドアではなく「(最寄り駅から都心主要駅まで)ダイレクトアクセス」といった表現が使われています。
◆ △住む → ○住まう
「住まう」というワードは、近代小説(明治~昭和初期)の中でよく使われていたようです。
「その場所が気に入り、長い間暮らし続ける」という意味合いで、「住む」という表現よりも長い期間の居住を指しています。住宅そのものであったり、その地域であったり、係る対象はさまざまです。
◆ △斜交い状 → ○雁行型
マンションなどの建物形状が「斜交い(はすかい=斜めにずれて繋がる)」になっていることを「雁行型(がんこうがた)」と表現します。斜交い状の建物が野鳥(雁等)の群れが斜めに連なって飛ぶ様子に似ていることからこのワードが生まれました。
「斜交い型」は写実的な表現なので、飛ぶ鳥を連想させる「雁行型」に置き換えることでのびやかな印象となります。
◆ ×希少価値 → ○得難い
「希少」という言葉も「最高」と同様に根拠が示せないワードのため公取協はNGとしています。しかし、なかなか新規物件が出て来ない地域で久々の売り出しということであれば、どうにかして希少価値感を表わしたいものです。
そんな時には「得難い」というワードで代用することが良くあります。使い方は、「得難い立地」「得難い環境」というような形です。
◆ △憧れ → ○羨望
「憧れの住宅街」と表現してもコンプライアンス的に問題はないのですが、「羨望(せんぼう=うらやましく思うこと)の住宅街」とした方が重厚感がアップします。若い人に訴えかけるなら「憧れ」でも良いのですが、社会的な地位を確立した大人に向けて発信する場合は「羨望」の方が訴求効果が高いようです。
一部、判断が難しいグレーゾーンにあるワードも見受けられますが、その辺りはオブラートに包みながら巧みに言い換える努力も見られます。この中には今後、表示規約の改定によってNG判断を受けるワードも出てくるかもしれません。
まとめ
不動産広告用語には聞き慣れない不思議なワードがちりばめられています。なぜそんなワードが使われるのか調べてみると、そこにはコンプライアンス的な理由がありました。
不動産広告は業界団体(公取協)によって厳重管理されており、広告を見た消費者が優良誤認したり、地域差別と受け止めそうな表現(ワード)を使用NGとしているのです。
加えて、不動産広告制作者も自主的な努力を重ね、NGワードと同じ意味合い、またはそれよりもイメージアップできる適切なワードを模索し、言い換えています。このような背景から、不動産広告は「不思議なワード」で溢れる結果となったのです。