「気遣いが素晴らしい」評判のホームを息子が見つけ…
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子どもたちとの話し合いのなかで長男家族との同居の話もでましたが、口数が少なく、ぶっきらぼうな門倉さんにお嫁様と上手くやっていく自信はありませんでした。意を決し、息子に老人ホーム探しを頼むことにしました。門倉さんが出した条件は、犬と一緒に生活できること、自宅から近いこと、自分と同じような生活環境にいた入居者の多いところという3つでした。
息子はすぐに自宅から車で20分以内の老人ホームを見つけてきてくれました。働いている職員の気遣いが素晴らしいと評判のホームだと言います。子どもたちにとっては、介護が必要になったときに父親が心地よく過ごせるというのは何より安心だったのでしょう。
パンフレットを見ると「高級」とうたうだけあって設備はリゾートホテル並み、入居金もそれなりに高額なので入居者の雰囲気も想像できると門倉さんは思いました。
見学に行くと、オープンして3年ということで建物はきれいですし、ゆとりのあるスペースの使い方、そして入居者のプライベートを十分に配慮したつくりになっていました。愛犬と居住可能な部屋に空きがあるというので見せてもらうと、40平米の1LDK。広々したリビングには奥様との思い出のつまった家具を配置できそうです。ベッドルームからは緑豊かな広大な公園が見下ろせるロケーションも気に入りました。
奥様を失ってから愛犬だけがそばにいてくれる家族のようなもの。公園を犬と散歩できるのは自分の健康にも良いし、動物病院とも提携しており、トリミングや予防接種は車で犬を迎えに来てくれるという点も安心できました。
ひとり暮らしの時間をなるべく短縮するためにも、門倉さんはすぐに契約をして引っ越しとなりました。食事は3食ともホーム内のレストランで3種類から選択できます。露天風呂つきの大浴場、フィットネスジム、グランドピアノを置いた音楽室もあり、予約すればひとりで演奏を楽しむこともできます。
しかし1週間ほど経つと、門倉さんはホームの職員にストレスを感じ始めました。というのも、サービスの一環なのか、「困っていることはありませんか?」と聞いてくるのです。毎食レストランで顔を会わせているのだから不必要に思えました。
人付き合いが得意ではない門倉さんは、やたらに職員が話しかけてくるのも面倒でした。奥様ともほとんど会話のない生活でした。会話がなくても一緒に散歩をするだけで十分幸せでした。
しかし、職員は門倉さんのプライベートな時間に踏み込んでくるのです。ラウンジでコーヒーを飲んできるとき、犬を散歩させているとき、食事をしているとき、顔を見ると「今日は外出されますか?」「お体大丈夫ですか?」と声をかけてくるのが耐えられなくなったのです。文句を言うほどの話でもないと我慢していましたが、3カ月を過ぎたころ、息子に相談をしました。
息子が施設長に話しましたが「安否確認は安全を確保するために必要なこと。できるだけ負担をおかけしないようにしますが、お声かけは必要な仕事なのです」と言われてしまいました。
結局は退居。コンシェルジュにホーム選びを託すことに
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このホームは人気があり、入居待ちをしている人も多いそうで、他の人には安心できる場所なのでしょう。しかし門倉さんにはサービス過剰に思えてしまったのです。4カ月ほどホームで過ごした後、門倉さんは一旦、息子家族との同居をスタートさせ、新たなホームを探すことになりました。
次は「老人ホーム選びのコンシェルジュ」にホーム探しを任せたそうです。老人ホームを選ぶ際には、入居する人の性格や生活スタイルがホームの方針とマッチしているかは非常に重要ですが、見学会だけではわからない部分でもあります。客観的な視点で「合う、合わない」を判断してもらえそうと門倉さんは紹介を楽しみに待っているそうです。
脇 俊介
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