はじめに
今回、VV AviationがVesselsValueの新ブランドとしてリリースされたことを受け、過去の船舶と航空機に関する比較記事を再確認し、2つの資産タイプの類似点と相違点にもう一度焦点を当てる。
まず、最も一般的なバルク船の1つ(ケープサイズ)と、最も一般的な民間旅客機の1つ(777-300 ER)、そして最も主要な船舶であるハンディコンテナ船とA320-200航空機について2020年1月以降の価値の推移を比較する。
次に、船舶と航空機の地理的な運用制限、整備点検、位置追跡の共通点と相違点についてコメントする。
資産の評価:2020年1月以降に起きた出来事
前回、類似点と相違点の記事を公開した際、いくつかの比較可能な資産を抜き出し、その価値と価値の変化を示した。今回は、コロナ禍の間に何が起きたのか、現状を分析する。
次の図は、船齢と航空機齢を5年に固定して、過去3年間の1月から6月までの船舶と航空機の標準価格を比較している。
2020年1月1日から2022年6月1日の間に、船齢5年のケープサイズバルカーの標準価格はこの2年半で53.7%増加し、機齢5年のボーイング777の標準価格は6.5%減少した。
2020年、2021年、2022年1~6月の標準価格の推移
一方、下図が示すように、船齢5年のハンディコンテナの標準価格は152.8%増加し、機齢5年エアバスA320の標準価格は同期間に2.4%減少している。
2020年、2021年、2022年1~6月の標準価格の推移
共通点・相違点に関する分析
地理的な運用制限
明らかな違いは、運用環境だ。一方は海に、もう一方は空に縛られている。他にも多くの考慮点や比較点があるが、資産タイプは予想以上に類似している。
海運の場合、水深、運河、航路の幅、領土など、運航に関わる制約がある。しかし、航空はFIR(Flight Operation Region)と呼ばれる空を管理する当局に縛られるだけである。
当たり前かもしれないが、船の大きさで運航が制限されるように、航空機の大きさにも制限がある。たとえば、一部の航空機は、大きさの範囲や、緊急着陸可能な距離によって、一部のルートを飛行できないときもある。
もうひとつ興味深いのは、接岸や着陸だ。港や空港によっては、許容範囲に制限がある。滑走路の長さが足りないと飛行機が着陸できないのと同じように、船が港に入ることで座礁してしまうようでは困る。海底地形によって、船が入れる場所と入れない場所が決まっているのだ。
時には、許可を受けている場合でも制限のある場合でも、どちらも問題に見舞われることがある。潮流が海運に大きな影響を与えることもあれば、上空40,000フィートの風速があれば、航空機の発着時刻を正確にするための主要な要因となる。
また、2021年、エヴァーギヴン(ゴールデンクラスの世界最大級のコンテナ船)がスエズ運河を塞ぎ、350隻以上の船の航路が妨害され、約100億米ドルの貿易損失を出したように、風が海運に大きな影響を与えることもある。