パンデミックや紛争、エネルギーや資源の争奪戦など、すぐ先の見通しも立ちにくいこの状況下において、富裕層たちも資産防衛のため手を尽くしています。様々な選択肢が検討されていますが、ここでは海外のプライベートバンクを活用するメリットについて見ていきましょう。資産防衛のプロであるウエルスマネージャーが解説します。
有価証券売買等の諸経費やコスト
アメリカやシンガポールのプライベートバンクは全体的にコストが低いといえます。
一方スイスは非常にコストが高い、という印象があります。「スイスのプライベートバンク」にはブランドがあるため、そのプレミアム分高く設定されている、という印象です。この点には利用者はよく気を付けたいところです。
日本の様々なリスクからの隔離
日本の金融機関ではなく、わざわざ海外にある金融機関に口座を開き、そこに資金を入れて、運用や投資をすることにより、ある程度の日本に付随するリスクをやわらげることが可能です。
もちろん、日本に居住している個人として口座を保有するわけですから、日本に付随する物理的なリスクしか払しょくすることしかできません。つまり日本の金融システムなどが何らかの理由により、例えば長期にわたる停電、銀行に取り付け騒ぎが起こる、大きな金融危機が国内で生じるなど、機能不全に落ちるような状況等があり得るでしょう。
5000万円以上の個人海外資産は国に報告することが義務付けられているため、ただ海外に口座を開設して保有するだけでは日本のリスクの多く払拭することはできません。
多くのリスクを回避するにはもう一工夫する必要があるでしょう。
遠坂 淳一
株式会社 ジェイ・ケイ・ウィルトン・インベストメンツ 代表取締役
株式会社 ジェイ・ケイ・ウィルトン・インベストメンツ
代表取締役
東京生まれ。米ピッツバーグ大学MBA。東京及び米西海岸在住。株式、債券、不動産、保険などに関するコンサルティングを、国内法人や富裕層、資産家に行う。
山一証券等を経て一九九六年から海外投資、資産運用、ウエルス・マネジメントにかかわるウェブサイトの運営、コンサルティングを手がける(株)ジェイ・ケイ・ウィルトン・インベストメンツ代表取締役を務める。訳書に『LTCM伝説──怪物ヘッジ・ファンドの栄光と挫折』(東洋経済新報社、共訳)、『ヘッジ・ファンド投資入門』(ダイヤモンド社)、『αを探せ! 最強の証券投資理論─マーコヴィッツからカーネマンまで 』(日経BP社)、『ザ・タートル 投資家たちの士官学校』(日経BP社)および『伝説のトレーダー集団 タートルズの全貌』(FPO社)がある。
(株)ジェイ・ケイ・ウィルトン・インベストメンツ:http://www.jkwilton.com/
日本プライベートバンク協会 プライベートバンク完全ガイド:https://www.private-bank.jp
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