アベノミクス批判が「アンフェア」なワケ
アベノミクスが始められたころ、果たしていま我々が目にしているような成果が得られるかどうか、疑心暗鬼の見方が満ち溢れていた。しかし、その7年8ヵ月のあいだに日本経済は劇的に変わった。そしてそのことを多くの日本人は知らない、あるいはメディアはほとんど報じていない、これは実にアンフェアである。
そこでいったい、第二次安倍政権のあいだに日本経済がどれだけ変わったのかということについて説明したいと思い、[図表1]を作った。
まず名目GDPであるが、2000年頃から2012年末に第二次安倍政権が誕生するまで、日本のGDPはほぼ500兆円でまったくフラットであったが、安倍政権が終わる直前の2019年には558兆円と1割増となった。これは年率1.2%増であるから世界のなかでは低成長グループではあるが、過去の停滞からは脱却したといっていい。
しかし株価は周知のように、安倍政権誕生時には8,644円だった日経平均が退陣時には23,475円と2.7倍になった。これは米国を除けば世界最高水準の伸びである。
為替は誕生時84円/ドルが退陣時20年9月に105円/ドル、今日では136円/ドルと劇的な円安となった。アベノミクスが実現したのは円安と株高だけだったという冷ややかな評価が多いが、それは間違いである。
アベノミクスの成果①…大幅な雇用増と女性の社会進出
アベノミクスで1番重要な成果は、なんといっても雇用である。
2000~2012年頃まで6,300万人前後で停滞していた就業者数は、安倍政権退陣時には6,700万人と400万人の増加となった。失業率は4.3%から2.2%へ、有効求人倍率は0.83倍から1.63倍へと劇的に改善した。最低賃金も2012年の749円から2019年には901円と長期停滞を脱した。
平均賃金が上昇しないことを指摘する向きは多いが、コロナ禍勃発直前までのタイトな労働需給は、賃金が上昇する寸前までいっていたことを物語る。
それからもう1つ顕著なのは、女性の社会進出である。2012年の女性の労働力化率(就業率)は60.7%と先進国のなかではかなり低い方であったがこの7年8ヵ月のあいだに70.9%と米国を大きく上回るレベルまで高まった。
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