(※画像はイメージです/PIXTA)

米ドル高・円安が1998年以来24年ぶりの水準に達するなど、歴史的な円安が広がりました。こうしたなか、自らの資産や生活を防衛する目的で新たに外貨投資を始める人が増えています。一方、あまりに円安が急ピッチで進んだために、すでに多くの外貨にとって「割高」リスクが高くなっている可能性も……外貨の「割高」をどのように見極め、投資を行えばいいのでしょうか。マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が解説します。

豪ドルも割高懸念…長期保有目的の買いは慎重に

代表的な資源国通貨とされる豪ドルも対円での割高懸念が強まっているようです。豪ドル/円の5年MAかい離率はプラス20%程度まで拡大、2013年や2008年「リーマン・ショック」前以来の大幅なプラスかい離率となっています[図表5参照]。

 

なかでも特に2008年の「リーマン・ショック」では、割高の反動が豪ドルの大暴落をもたらしました。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表5]豪ドル/円の5年MAかい離率(1990年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

「リーマン・ショック」以前、豪ドル/円は2000年の50円台から、100円を超えるまで上昇していました。当時の豪ドルは金利も比較的高く、そのうえ長期上昇トレンドが続いたことから、個人投資家にも人気の通貨となっていました。ところが「リーマン・ショック」をきっかけに割高修正が一気に広がったことから、ほんの数ヵ月で100円から50円台への大暴落となったのです。

 

最近になって外貨の割高懸念が拡大しているのは、すでに述べたように歴史的な円安の影響が大きいでしょう。

 

米ドル/円の5年MAかい離率も、1980年以降でこれまで3回しかなかったプラス20%以上に拡大してきました[前掲図表2参照]。行き過ぎた米ドル高・円安の懸念が強くなっているといえます。

 

以上みてきたように、対円での外貨の割高懸念が広がっていますが、割高局面での投資は反動が本格化すると大きく下落するリスクを抱えているため、長期保有目的の買いには慎重さが必要です。

 

こうしたなか新たに買う場合は、投資額を抑制し、損失を最低限にとどめるためにストップ・ロスを付けたうえで、小まめに利益確定するというような短期売買の意識が不可欠です。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長


※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録