豪ドルも割高懸念…長期保有目的の買いは慎重に
代表的な資源国通貨とされる豪ドルも対円での割高懸念が強まっているようです。豪ドル/円の5年MAかい離率はプラス20%程度まで拡大、2013年や2008年「リーマン・ショック」前以来の大幅なプラスかい離率となっています[図表5参照]。
なかでも特に2008年の「リーマン・ショック」では、割高の反動が豪ドルの大暴落をもたらしました。
「リーマン・ショック」以前、豪ドル/円は2000年の50円台から、100円を超えるまで上昇していました。当時の豪ドルは金利も比較的高く、そのうえ長期上昇トレンドが続いたことから、個人投資家にも人気の通貨となっていました。ところが「リーマン・ショック」をきっかけに割高修正が一気に広がったことから、ほんの数ヵ月で100円から50円台への大暴落となったのです。
最近になって外貨の割高懸念が拡大しているのは、すでに述べたように歴史的な円安の影響が大きいでしょう。
米ドル/円の5年MAかい離率も、1980年以降でこれまで3回しかなかったプラス20%以上に拡大してきました[前掲図表2参照]。行き過ぎた米ドル高・円安の懸念が強くなっているといえます。
以上みてきたように、対円での外貨の割高懸念が広がっていますが、割高局面での投資は反動が本格化すると大きく下落するリスクを抱えているため、長期保有目的の買いには慎重さが必要です。
こうしたなか新たに買う場合は、投資額を抑制し、損失を最低限にとどめるためにストップ・ロスを付けたうえで、小まめに利益確定するというような短期売買の意識が不可欠です。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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