夏から秋には、例年、手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱(アデノウイルス感染症による咽頭結膜熱)が流行します。これらの病気の名前を聞いたことはあるかと思います。今回は、特に子どもに流行するこの3つの疾患について、症状・治療法・ホームケアなどの予防法をみていきます。
子どもの三大夏風邪「手足口病」「ヘルパンギーナ」「プール熱」原因と対処法【小児科医の解説】

7〜8月をピークに流行する「プール熱」

 

プール熱とは、アデノウイルス感染症の1つの病型です。アデノウイルス感染症の型には約50種類がありますが、プール熱とは、主にアデノウイルスの3型による感染です。

 

「咽頭結膜熱」とも呼ばれ、プールにおける感染が推定されたことから、日本では「プール熱」という名前で呼ばれています。感染流行時期は、6月の梅雨時期から感染が増え始め、7月~8月をピークに流行する傾向があります。

 

症状としては、発熱の他、咽頭炎によるのどの痛みと食欲低下、結膜炎による白目の充血、目の痛み、目やになどの症状がでます。これらの症状は比較的長く生じて3~5日間ほど続くことも多いです。診断は、前述の症状にあわせて、アデノウイルスの存在の有無を評価するために喉の粘膜・結膜のぬぐい液や糞便を用いて検査を行い、保険診療の対象となります。

「プール熱」の予防と対処法

 

予防は、マスク・手洗いうがいが基本となりますが、プールを通じた感染例もあるため、プールに入ったあとは、目・体をしっかりとシャワーで洗うようにすることが重要です。

 

プール熱に対して、根本的な治療薬はありませんので、自分の免疫力により回復する必要があります。発熱は長く続く傾向があるため、経口補水液などでの水分補給や解熱剤を使用していきます。

 

プール熱は、学校保健安全法における「学校感染症」に相当します。このため、発熱などの症状が改善して2日後まで自宅待機が必要となります。

 

いずれのウイルスも、適切な手洗いうがい・マスク、便の衛生的な処理などが重要となってきます。