(※写真はイメージです/PIXTA)

漫画『サザエさん』の磯野波平さんは54歳。東京・世田谷区の住宅街の戸建てで暮らしています。波平さんのような安泰老後は送れないまでも、老後を豊かに過ごしたいものです。寿命が延び、高齢者の数が増えていくのに連動して、会社の定年も延びる傾向にあります。老後を楽に暮らすためにはどうすればいいのでしょうか。答えはシンプルで、長く働くのがいちばんなのでしょうが。

サザエさんの「波平さん」は安泰老後

漫画『サザエさん』のお父さん・波平さんは54歳という設定です。

 

実際の54歳の有名人・芸能人でいうと、織田裕二さん、江口洋介さん、沢村一樹さん、天海祐希さん、原田知世さん…。いまどきの54歳と比べると、波平さんはかなり老けているイメージです。

 

『サザエさん』が朝日新聞に連載されていたのは1949年(昭和24)から1974年(昭和49)まで、なんと25年もの長きにわたりサザエさん一家は新聞連載されていました。

 

いまは60歳定年制の企業が約8割です。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)により、希望すれば65歳まで働けることになっています。最近は65歳定年や70歳定年という企業も出始めています。「高年齢者の雇用状況」(厚生労働省)によると定年を廃止している企業は2.7%あります。これからますます定年の年齢は延びていくことが予想されます。

 

【画像】高齢夫婦無職世帯の家計の推移2017~2020年

 

実は60歳定年の歴史は意外と浅いことご存じでしょうか。一般に法的に定められたのは1998年のことです。この年に高年齢者雇用安定法が改正され、60歳未満の定年が禁止されました。それ以前は55歳が定年でした。ただ、大企業を中心に60歳定年はそれ以前から定着していたのも事実です。

 

1955年(昭和30)の平均寿命は、男性が63.6歳、女性が67.75歳です。波平さんは定年まで1年を残すのみで、老境の域に差しかかっていたといえるかもしれません。

 

波平さんが平均寿命の64歳で亡くなるとすれば、老後の期間(定年後)は9年間です。この時代は、払い込んだ以上の年金が支払われたので、それほど心配はありませんでした。老後生活も9年と、いまよりずっと短いのです。

 

しかも、磯野家は持ち家です。東京都世田谷区あさひが丘3丁目に床面積30坪程度の平屋の戸建てに住む礒野家には住宅ローンはなさそうです。世田谷区あさひが丘のモデルは世田谷区桜新町です。

 

ちなみに磯野家はもともと博多で暮らしていましたが、波平さんの転勤により東京に出てきました。世田谷区と言えば今でこそ高級住宅街ですが、終戦直後は都内でも畑ばかりの田舎だったといいます。マスオさんとサザエさんは、実家の近所に住んでいたそうですが、実家で同居することになります。

 

波平さんは実は超エリートとも噂されています。銀座に本社を持つ「山川商事」という商社に勤めています。新聞連載当初は「局長」と呼ばれていた時期があったようですが、現在は平社員。いまでいうところの「役職定年」で、山川商事は時代を先取りしていたのかもしれません。

 

 

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