【モンテッソーリ子育て】恐るべき吸収力を発揮する、子どもの「敏感期」…適切な働きかけとは?

【モンテッソーリ子育て】恐るべき吸収力を発揮する、子どもの「敏感期」…適切な働きかけとは?

子どもは生まれてから6歳までの間に、様々な事柄を「知りたい」「学びたい」「身につけたい」と強く思う「敏感期」という時期があり、その後の成長のためにとても大切なものです。ここでは、親が敏感期をどのように見分け接したらいいのか、モンテッソーリ教育の専門家が平易に解説します。

6歳までに訪れる「敏感期」に備える

自立のために、いつ、何をすればいいか。その課題は子ども自身が知っています。それが敏感期です。敏感期は6歳までに訪れます。

 

子どもは私たち大人に、今、どんな敏感期にあるかを発信しています。しかし、保護者が「子どもには敏感期がある」ということを知らなければ、それを見守るどころか、イライラしたり、制止しようとしたりしてしまうのです。

 

子どもの敏感期は何が特別なのか。それは吸収力です。例えば大人は、フランス語に興味を持ちフランスに移り住んだとしても、ただその環境に身を置くだけでは言語を身につけるには非常に長い時間がかかります。

 

一方で幼児は、その場に身をおくだけで、そのままフランス語がわかるようになります。そして、フランス語のネイティブとして成長します。

 

言葉に興味があっても、吸収力が弱いのが大人。言葉への興味など意識しなくても、言葉の存在に気付いて吸収してしまうのが子どもです。特に0歳児であれば瞬く間に、その言葉を吸収してしまいます。

 

もちろん「言語」だけではありません。「感覚」や「運動」「秩序」など、敏感期には様々な種類があります。それらは長い人生の中で、ずっと必要とされるものです。

 

人生において確実に必要とされるものに対し、人生の出発点の時期にいとも簡単に身につけられる力が、人間には与えられています。敏感期を知り、子どもの興味を満たす働きかけをしてあげましょう。

 

「敏感期」を見つける3つのコツ

 

①何度もくり返し自分からやっていることを見つけましょう。

 

②外出の際、子どもの視線や、耳をすましていることはなにか、よく観察しましょう。

 

③くり返すいたずらに注目しましょう。

どのように敏感期に関わればよいのか

具体的な例でご説明しましょう。

 

手を洗いに行ったツバサくん。いつまでたっても戻って来ないので見に行くと、水道の蛇口をひねり、水を出したり止めたりをくり返していました。周りも洋服も水浸し。「びちょびちょじゃない!」「お水がもったいないよ!」と叱りたくなってしまいます。

 

しかし、ここで立ち止まって考えてみましょう。ツバサくんの行動の裏に、敏感期から生じているものはないでしょうか?

 

実はこの行動は「運動の敏感期」のひとつです。水道の蛇口をひねることが楽しくて仕方ないのですね。そう気が付いたなら、「おもしろいものがあるよ」と言って、中身が空になった蓋つきのペットボトルを渡してあげましょう。そこで思う存分「キャップをひねる」という運動をさせてあげましょう。

 

これが、敏感期に積極的に働きかける、ということです。

子どもには「自己教育力」がある

いったん子どもが集中して何かに取り組み始めたら、大人の積極的な関わりは終わりにします。ツバサくんが夢中でペットボトルの蓋を何度もひねっているなら、一人で遊ばせておきます。ここから先は子どもの領域です。大人がこれ以上、介入する必要はありません。子どもには、一人でできるようになる自己教育力があります。子どもは私たちが思っている以上に有能でできる存在です。本人に任せましょう。

 

子どもの自発的活動は選ぶこと、つまり「自己選択」から始まります。そして、その選んだことがそのときの子どもの敏感期、つまり発達の課題とぴったり重なると、子どもは一生懸命、集中して関わります。これが「集中現象(第5条参照)」と呼ばれる、子どもの育ちに欠かせない姿です。このように自分で選択したことに集中できた子どもは、様々なことが正しくできるようになり、自立に向かうようになります。

敏感期にあわせて環境を整える

保護者が子どもの育ちのためにできることは、子どもが興味を持ちそうなものを周囲にちりばめるなどして環境を整備し、本人が選んだものの遊び方や使い方がわからないときに、どのようにするのかを提示する(ものの使い方を言葉で説明するのではなく、実際にやって見せる)ことです。

 

モンテッソーリ教育においては、教えるということはすなわち提示をすることです。子どもに対しての「直接的な」働きかけが少ないというのがモンテッソーリ教育の特徴かもしれません。「子どもに積極的に働きかける」とは、子どもにダイレクトに教え込むことや過度な介入をすることではありません。

 

モンテッソーリ教育が、子どもに直接働きかけるのを唯一よしとするのは、子ども自身に危険が迫っているとき、相手にけがを負わせそうなとき、ものを壊しそうなときの3つだけです。

 

 

松浦 公紀
松浦学園モンテッソーリ子どもの家 園長
日本モンテッソーリ教育綜合研究所 教師育成センター長

※本記事は『6歳までに一生を支える力を育むモンテッソーリ子育て15か条』(幻冬舎)を抜粋・再編集したものです。

6歳までに一生を支える力を育む モンテッソーリ子育て 15か条

6歳までに一生を支える力を育む モンテッソーリ子育て 15か条

松浦 公紀

幻冬舎

口を出さない、手出ししない、信じて任せる。 4000名ものモンテッソーリ式教師を育てた著者が教える、心のつよい子の育て方。 「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という「自己教育力」を前提としたモンテッソー…

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