高齢者と同じように年金を受給できるとは限りません。2021年の年金額は、前年に対して0.1%の引き下げが発表されました。0.1%とはいえ引き下げられたのは4年ぶりで、今後この流れが加速するのではないかと不安を感じる人が多くなるのは必然でしょう。受給する人が増える一方で払い込む人は減るため、現在20代、30代といった若い世代の人たちにとって年金は決してアテにできるものではなく、むしろ破綻してもおかしくないものに映っていることでしょう。不安を解消する方法のひとつとして、不動産投資についてみていきましょう。
都内・2,500万円・家賃10万円のワンルームマンションに投資したら【シミュレーション】

「第2の年金」として考える不動産投資

不動産投資によって得られる賃料収入は、いわば「第2の年金」です。なぜそう呼べるのか、そして不動産投資が老後資金の構築に役立つ理由について解説します。

 

20代・30代だから活かせる不動産投資のレバレッジ効果

不動産投資による利益とは、購入した物件の売却収入を得るか(キャピタルゲイン)、入居者に貸すことで賃貸収入を得るか(インカムゲイン)のどちらか、もしくはその両方です。

 

投資の基本は「安く買って高く売る」ですが、初心者が不動産の売却収入を得るのは、金額も大きいだけに容易ではありません。そこで一般的にはローンを組んで物件を購入し、毎月の賃料収入を得る方法がセオリーとなります。

 

ただし、これからの不動産投資ではセオリーではないとされているキャピタルゲインについても注目しておくべき事実があります。それは、大都市圏を中心とするマンション価格の高騰です。世界的に進行しているインフレ傾向の影響もあって不動産価格も高騰しており、特に東京圏のマンション価格は上昇傾向が顕著です。

 

住宅金融支援機構がまとめた首都圏のマンション価格動向のレポートによると、新築、中古ともに右肩上がりの上昇が続いていることが見て取れます。

 

この傾向が今後も続くと、家賃収入だけでなく売却時に利益を手にすることができる可能性が高くなります。20代、30代といった若い世代の人は多額の資金を用意しにくいかもしれませんが、金融機関の融資を活用して少額で参入し、そこから売却益を得るという投資スタンスも可能になるわけです。

 

不動産投資が30代など若い現役世代に向いた資産形成方法といえる理由は、いくつかあります。まず安定した給与収入があるうちであればその信用をもとにローンを組んで物件を購入することができます。数ある投資の中で商品の購入のためにローンを組めるのは不動産投資の特徴であり、これは他の金融商品と比べても有利な点といえます。

 

ご存じの通り、今はマイナス金利時代です。金融機関でのローンも低利で契約が可能です。退職して収入がなくなった後に長期のローンを組んで物件を購入するのは現実的ではないため、まさに現役世代向けの投資といえるでしょう。

 

自己資金より大きな額の商品が購入できるということは、レバレッジ効果をきかせられるということです。レバレッジというとFX(外国為替証拠金取引)や株の信用取引を思い浮かべて「怖い」と感じてしまう人もいるかもしれませんが、為替などと比べて不動産の価格変動はそれほど大きくはありません。

 

たとえば為替相場では一気に2割、3割といった高いボラティリティ(変動幅)を示すことがありますが、不動産がそこまで急激に値下がりすることはほとんどありません。

 

また、銀行とローン契約を結ぶ際は団体信用保険に加入するのが一般的ですが、この団信と呼ばれる保険があるおかげで、万が一不慮の事故などで亡くなってもローン残額の支払いが免除されます。そのため残された家族に対して生命保険と同等の機能を果たすことができるのです。

 

これは入居者がいることが前提ですが、月々決まった額の収入が入ってくることも大きなメリットといえます。キャッシュフローの面はもちろん、心理的にもプラスといえるのではないでしょうか。退職後でも物件を持っている限り入ってくるわけですから、これが「第2の年金」と呼ばれる所以です。

 

不動産投資で老後にどれくらいの収入が見込める?

それでは、30代など若い世代の人が不動産投資に参入した場合、老後にどの程度の収入を見込むことができるのでしょうか。あるケースを想定して試算してみたいと思います。想定条件は、人気の高いワンルームマンション投資です。

 

ワンルームマンション投資は区分マンション物件といって1戸単位で物件を購入して賃貸経営ができるため、参入障壁の低さと空室リスクの低さが魅力です。東京都内で2,500万円のワンルームマンション物件を購入し、家賃は10万円という想定条件とします。500万円を自己資金として、2,000万円のローンを組んで購入したとしましょう。

 

オリックス銀行の変動金利型であれば、優遇などを受けない場合のローン金利は3.675%なので、これを適用して35年ローンを組むと、毎月の返済額は約8万4,000円です。家賃が10万円なのでローン返済中は家賃がほぼそのままローン返済に回される計算になりますが、ローン完済後はそれがオーナーの不労所得となります。

 

ローン完済後は築年数が古くなっているので一定の家賃下落はあると思いますが、それでも7~8万円程度の「第2の年金」が入り続けるのは大きな意味を持ちます。ワンルームマンション投資は1戸から始めて、2戸、3戸と規模を拡大していくのがセオリーなので、老後を迎えるまでに複数戸を所有していたら「第2の年金」はより大きな金額になります。

 

貯蓄よりお得な不動産投資

老後のために貯蓄をしておかなければならないとお考えの方はとても多いと思いますが、実は不動産投資は貯蓄よりもお得であることをご存じでしょうか。その理由は、利回りの違いです。

 

貯蓄の場合、銀行の定期預金金利は大手メガバンクの相場で0.002%です。これはもうほぼゼロといっても良い水準で、貯蓄をしていてもお金が増えることはないと考えて良いでしょう。

 

その一方で不動産投資の利回りはマンション物件が高額になる東京都内であっても4%台程度はあるため、貯蓄と比べても桁が違います。先ほどご紹介した事例では2,500万円の物件で満室経営になれば年間240万円の家賃を見込むことができるので、単純に利回りは9.6%になります。これだけの利回りで運用できる投資商品が他にあるのであればそれも有望だと思いますが、実際にはなかなかないでしょう。

 

こうした利回りの高さも不動産投資の大きなメリットなので、老後資金づくりや老後の収入源確保に有効と言われているのです。