高齢者と同じように年金を受給できるとは限りません。2021年の年金額は、前年に対して0.1%の引き下げが発表されました。0.1%とはいえ引き下げられたのは4年ぶりで、今後この流れが加速するのではないかと不安を感じる人が多くなるのは必然でしょう。受給する人が増える一方で払い込む人は減るため、現在20代、30代といった若い世代の人たちにとって年金は決してアテにできるものではなく、むしろ破綻してもおかしくないものに映っていることでしょう。不安を解消する方法のひとつとして、不動産投資についてみていきましょう。
都内・2,500万円・家賃10万円のワンルームマンションに投資したら【シミュレーション】

公的年金だけでは老後安泰とはいえない現実

日本ファイナンシャルプランナー協会が行った調査によると、なんと日本人の約8割にあたる人たちが老後資金に対する不安を感じていることが明らかになっています。これだけ多くの人が老後資金に対する不安を感じている理由と実情を考察してみましょう。

 

年金制度が崩壊する可能性も

年金不安が叫ばれて久しいですが、冒頭で述べたように日本の少子高齢化が進行することで、受給者は増え続ける一方で払い込む人は減り続けています。どんどん条件が悪くなると考えるのは当然のことで、最悪の場合は年金制度そのものが破綻してしまうのではないかと懸念する声もあります。

 

破綻するまではいかなくとも、受給額が減る、支給開始年齢が引き上げられるなど、条件が改悪されていく可能性は十分にあります。

 

内閣府が2019年(平成31年)に発表した「老後の生活設計と公的年金に関する世論調査」の調査結果を見ると、老後の生活設計において公的年金に全面的に頼るつもりだと回答した人は23%です。公的年金に全幅の信頼を置いている人は4人に1人にも満たないということがわかります。

 

「公的年金に個人年金や貯蓄などを組み合わせる」と「できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」という、公的年金をあまりアテにしていない人の比率は70.6%に上ります。実に大半の人が公的年金だけで老後の生活が成り立たないと認識しています。

 

公的年金が破綻する可能性は低いと考えられますが、制度が改良される可能性も低く、条件が悪くなるというのはすでに国民的なコンセンサスになっています。

 

生活費はなかなか減らせない

受給できる年金額が下がるからといって、生活に必要なお金が大きく減らせるわけではありません。老後の月額生活資金は平均で27万2,000円となっており、厚生年金と国民年金合わせて21万円の給付があっても6万円程度の赤字になっています(高齢夫婦無職世帯の家計調査)。

 

生活費以外にも、夫婦で海外旅行をしたい、孫に何か買ってやりたい、老人ホームに入りたいと思うと、さらにお金は必要になります。このような老後に必要なお金は、自分で用意しなければなりません。

 

そんな状況にかかわらず、今の預貯金の利率は非常に低く0.002%なども普通です。このままでは一向に資産を増やすことができませんが、早くから適切な資産運用をはじめることで、無理なく老後資金をつくることができます。

 

年金受給額を把握している人は僅か

ところで、年金に不安を感じているものの自分の将来の年金受給額がいくらになるのかご存じでしょうか。定期的に送付される「ねんきん定期便」では将来受給できる年金の見込み額などが記載されていますが、これをしっかりチェックしている人は少数派なのではないかと思います。

 

わかりにくい、もっと先のことなので現実味がもてないなど理由はさまざまだと思いますが、公的年金に不安を抱いている一方で受給額を正確に把握していない人が多いのは、公的年金に対する根本的な不信があるからなのかもしれません。