公務員の離職率は増加傾向…辞めたい理由は?
また経年で離職率をみてみると、民間企業の場合は8%弱で増えている、という状況にはありませんが、公務員の場合、緩やかに上昇傾向。過去5年で比べると、1.2倍程度になっています。
なぜ公務員を辞めたいと思うのでしょうか。国家公務員への調査ではありますが、内閣官房『第18回女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会(令和2年6月19日)』で使用された資料で紐解いていきましょう。
資料によると「すでに辞める準備中」「1年以内に辞めたい」「3年程度の内に辞めたい」と回答したのが5.5%。年齢・男女別にみていくと、20代男性で14.7%、30代男性で6.0%、40代男性で2.6%。20代女性では9.7%、30代女性で8.0%、40代女性で3.9%でした。
離職意向の理由をたずねると、「自己成長できる魅力的な仕事」を望むといったプラスとも取れる理由が多い一方で、「長時間労働等で仕事と家庭の両立が難しい」と労働環境を理由にしたものが目立ちます。また「収入が少ない」という理由も、20代男性では理由の2位となっています(図表)。
総務省『地方公務員における働き方改革に係る状況(令和2年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査)』によると、残業時間が45時間を超えたのが、62万4,859人で全体の4.8%。その内訳をみると、45時間から100時間未満が57万5,036人で全体の4.4%、月100時間以上となったのが4万9,823人で全体の0.4%でした。
将来の人口減に合わせて職員数を減らしている自治体は多く、制度改革で業務時間を減らそうという試みも広がっていますが、残業は常態化。サービス残業も多くなっているという声も聞かれます。さらにコロナ禍のような未曽有の危機を前に、公務員への負荷はさらに強まっています。
そのような状況下、「こんなに働いているのに給料が低い」と感じる人が多いのも、仕方のないことかもしれません。
もちろん、ひと口に公務員といってもさまざまな職種があるので、傍から見たら「楽をしている」という人も、民間企業と同様にいるでしょう。ただ「公務員=安定」と世間でみられているのは、幻想でしかないといえる状況です。