コロナ禍、「給与減、賞与なし」というような厳しい状況に直面した会社員も多いでしょう。一方、社会情勢がマイナス傾向になると人気が高まるのが公務員。「やっぱり安定している職は魅力的」と羨望の眼差しを送る人も。しかし現実はそうはいかないようです。みていきましょう。
平均給与35万円…地方公務員「ツライ、もう辞めたい」過酷な実態 (写真はイメージです/PIXTA)

「公務員なら定年まで安心」は幻想でしかない!?

総務省『令和3年地方公務員給与実態調査』によると、2021年、地方公務員の平均給与は月額35万9,895円。公務員の給与は基本的に民間準拠となっているので、前年比マイナス0.3%となりました。

 

また定年退職金を47都道府県でみてみると、最も高い「愛知県」で2,277万4,000円、最も低い「沖縄県」で2,127万2,000円。定年まで勤め上げれば、平均して2,000万円以上の退職金が手に入る……それが公務員の世界です。

 

確かに、会社員であれば転職などを繰り返し、給与を上げていくということは可能で、ほんのわずかではありますが、会社員でありながら1億円プレイヤーというケースも。公務員ではそうはいかず、給与面では天井は見えています。

 

しかし公務員の魅力といえば、やはり安定性。特に先行き不透明ななかでは人気が高まる傾向にあり、会社員からは羨望の声が寄せられています。

 

しかし、多くの会社員が羨む公務員ですが、もちろん辞める人もいます。総務省『令和2年地方公務員の退職状況調査』によると、2020年度の離職者は全国で12万5,877人。そのうち55.2%が定年退職で、35.1%が普通退職、5.3%が勧奨退職、早期募集制度による退職が2.7%でした。

 

勧奨退職は、組織側が労働者に対して退職を促すこと。地方自治体の中には、上が詰まって昇任できないという事態を避けるため、退職を勧める制度を採用しているところが多く、都道府県では33団体と7割にのぼります。

 

早期退職募集制度は、組織の年齢構成の適正化を目的としたもので、定年が60歳の場合45歳以上の職員を対象とする退職制度で、こちらを採用する自治体は、都道府県では14団体で3割程度。

 

そして自己都合を含む、一般的なイメージの退職が普通退職になります。地方公務員の自己都合での離職率は、およそ1.3%。それに対して民間企業の場合は8%弱といわれているので、公務員のほうが「働き続けよう」という意欲は強いようです。しかし「公務員だから定年まで安心して働ける」というイメージからは、少々かけ離れた現実があるようです。