「なんとなく」で保険を選ぶのはやめよう
■保険は上手に利用する
私たち日本人は、無類の保険好き。8割以上の人が何らかの生命保険に加入しています。
「それほど貯蓄はないけれど保険にはたくさん加入しています」という人もいらっしゃるのではないでしょうか。保険に加入すると安心しがちですが、もしかしたら、必要のない保険料を払っているかもしれません。
私たちには保険を選ぶための正しい方法を学ぶ機会がありませんでした。そのために、すすめられるまま加入してしまったり、上手に商品を選べなかった可能性があります。
その背景には、近年の過剰な広告という存在が大きいように感じます。保険会社も企業ですから、自社の商品を「やれ入院が心配だ」とか「85歳まで入れます」など、アピールするのは当たり前。保険会社が悪いわけでも、騙しているわけでもありません。要はこちらの知識不足が大きな原因なのです。
保険は死亡したり、病気やケガで入院した場合に保障を得るもの。世帯主の死亡で、家族が路頭に迷わないよう、子どもが進学をあきらめることがないように死亡保障を確保します。
保障を得ることと引き換えに、保険料というお金を支払います。そして、加入者のうちだれかが死亡した場合に、保険金が支払われる。これが、保険のしくみです。保険の掛け過ぎにご用心。日本の社会保険は手厚いのです。
これからはなんとなく保険を選ぶのではなく、保険会社を上手に利用するという感覚を持ちましょう。
保険は人生で2番目に高い買い物
■保険貧乏にご用心
「とにかく保険に入っておくと安心」と思ってしまいがちですが、その「安心」を得るために払う保険料の総額を考えたことがありますか。1世帯当たりの年間保険料は38.2万円。保険は住宅の次に高い買い物だといわれています。
大げさに聞こえるかもしれません。ですが、30年にわたって、38万円を払い続けると、軽く1000万円を超えてしまうのです。
保険料に1000万円も費やすのであれば、貯蓄ができないのもうなずけますね。
これだけの保険料を払っていても、保険は死亡したときや、入院したときなど契約に定めた条件にあてはまらないと支払われないのです。
たとえば、「1ヵ月間、自宅療養する」場合や、「子どもの予備校代に80万円かかる」「失業してしまった」などの場合、金銭的に苦しくなりがち。でも、保険からの給付はおろか、保険料の支払いは待ってはくれません。
“いざ”というときに備えて保険に入ったつもりが、反対に加入すればするほど、家計が火の車になるという悪循環に陥ってしまいます。
ほかにも、十分な貯蓄がないために、車を購入するときや教育費のローンを組むと、利息を払う分、さらに家計の負担が大きくなってしまうでしょう。
ときどき「医療費よりも入院給付金が多く支払われて得をした」という話を聞きますが、実は保険料の合計額のほうがかなり高いのです。このように考えると保険に入りすぎだと気がつきます。