(※写真はイメージです/PIXTA)

老後を「長生き地獄」にしないためには、資産設計が重要です。そのためにはまず、将来もらえる年金額を押さえることから始めましょう。いま現役で働いている人々は、将来どれだけの額を受給できるのでしょうか? “年収300万円時代”の到来をいち早く予測した経済アナリスト・森永卓郎氏が、国のデータなどを基に試算・解説します。

いつからどんな年金が受け取れるかを確認しよう

 

会社員の年金は、一般的に老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)の2階建てになっていますが、受給開始年齢は段階的に65歳へ移行中です。つまり、生年月日によって受け取れる年齢が異なります。

 

たとえば、昭和30年4月2日から昭和32年4月1日生まれの男性は、62歳から一部の年金の受給が開始し、65歳から満額の年金を受け取れます。生年月日は性別によって変わり、同様に62歳から一部を受け取れる女性は昭和35年4月2日から昭和37年4月1日生まれとなります。

 

自分の場合、いつから年金の受給が可能か確認しておきましょう(図表6)。

 

出典:日本年金機構
[図表6]いつからどんな年金が受け取れる? 出典:日本年金機構

「ねんきん定期便」で自分の年金額をチェック

ねんきん定期便はこれまでの年金の加入記録や年金の見込額が記載された書類で毎年、誕生月に送られてきます。通常ははがきの形になっていますが、節目の年(35歳、45歳、59歳)は、さらに詳しいものが封書で届きます。

 

はがきタイプのねんきん定期便では、主に直近1年間の年金記録と年金見込額を確認できますが、50歳未満と50歳以上では、見込額の計算方法が異なるので注意が必要です。50歳未満では、これまでの加入実績に応じた年金額が記載されています。今後、年金への加入を続けていくことで、年金額は上昇していきます。一方、50歳以上では、現在の加入状況が60歳まで続いたと仮定した見込額が記載されています。加入状況が大きく変わらない限り、65歳以降にはここに記載されている年金額を受け取ることになります。

 

ねんきん定期便は郵便で送られてくるものと同じものをPDFの形でネットでも確認できます。ダウンロードもできるので年金記録の保管や管理にも便利です。環境保護などの観点からPDFの電子版のみでOKという人は、ねんきん定期便の郵送停止も可能です。

 

電子版を確認するには、ねんきんネットの利用登録が必要。マイナンバーカードを持っている人は、マイナポータルからの利用が可能。持っていない人は、ねんきん定期便に記載されたアクセスキーで利用登録をしましょう。

 

出典:日本年金機構
[図表7]ねんきん定期便で確認できること 出典:日本年金機構

 

<ねんきん定期便用語ガイド>

■標準報酬⽉額

標準報酬⽉額とは、年金保険料や受け取る年⾦額を決める際に、計算の基になる金額です。給与などの平均を区切りのよい⼀定の幅で区分した⾦額に当てはめたものです。たとえば、給与の平均額が月額31万円~33万円の範囲の人の標準報酬月額は32万円です。

 

■標準賞与額

標準賞与額とは、賞与から納める年金保険料や受け取る年⾦額を決定する際に計算の基となる金額で実際に⽀払われた賞与の額の1000円未満の端数を切り捨てた額です。

 

■加入区分

加入制度を示すもので、(厚年)=厚⽣年⾦保険、(基⾦)=厚⽣年⾦基⾦、(船保)=船員保険、(公共)=公務員共済制度(国家公務員共済組合または地⽅公務員共済組合)、(私学)=私⽴学校教職員共済制度を意味します。

 

■お客様のアクセスキー

「ねんきんネット」のユーザIDを取得する際に使⽤する17桁の番号。この番号を使⽤してユーザID発⾏申し込みをすると、即時にユーザIDが取得できます。

 

■音声コード

専⽤読み取り装置、携帯電話、スマートフォンで音声コードを読み取ると年⾦加⼊記録を⾳声で聞くことができます。

 

※令和3年度「ねんきん定期便」(50歳以上の方) 出典:日本年金機構
[図表8]ねんきん定期便をチェックしよう① ※令和3年度「ねんきん定期便」(50歳以上の方)
出典:日本年金機構

 

※令和3年度「ねんきん定期便」(50歳以上の方) 出典:日本年金機構
[図表9]ねんきん定期便をチェックしよう② ※令和3年度「ねんきん定期便」(50歳以上の方)
出典:日本年金機構

 

 

森永 卓郎

獨協大学経済学部 教授

経済アナリスト

森永卓郎氏の著書『長生き地獄にならないための 老後のお金大全』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

長生き地獄にならないための 老後のお金大全

長生き地獄にならないための 老後のお金大全

森永 卓郎

KADOKAWA

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