(※写真はイメージです/PIXTA)

年々深刻化する地球環境。私たちがすべき第一歩は「知ること」かもしれません。今回はゾウの密猟と日本の関係について考えていきます。

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    ワシントン条約第74回常設委員会の結果

     

    約3年ごとに、国際取引の規制対象となる野生生物種を選定し、決議する締約国会議(CoP:Conference of the Partiesとは異なるこの常設委員会は、条約の運営を担う年次会議)。CoPで決議された決定事項の進捗の報告の他、次のCoPで審議する内容が決定されるなど、条約の遵守状況について議論される、重要な国際会議の一つです。

     

    2022年3月7日~11日、フランスのリヨンで開催されたCITES SC74。正式な参加者は、締約国の中から「地域代表」に指名された一握りの国々。その他の締約国やNGOは、オブザーバーとして参加します。

     

    今回、SC74に実施措置について報告書を提出していた、日本を含む10か国・地域の政府(オーストラリア、EU、香港、イスラエル、ニュージーランド、南アフリカ、タイ、イギリス、ジンバブエ)からの報告内容については、常設委員会によって受理されました。

     

    しかし、世界の象牙の違法取引問題は今も解決していないことから、今後も適切な措置を実施し、継続した報告が求められる事になりました。

     

    また、この審議において最も注目すべき結果は、合法的な象牙の国内市場を有する国が関係する、象牙の違法取引について詳しく分析するよう求める提案が承認されたことです。

     

    このことは、象牙の違法な輸出が起きている日本の市場に対し、より踏み込んだ分析が行われる可能性があることを意味しています。

     

    SC74の結果に基づき、11月のCoP19では、日本を含む象牙の国内市場を有する締約国が実効性のある措置を講じているかどうか議論されることが見込まれます。

     

    さらに、SC74では、セネガルとリベリア政府より、日本が大量に抱える在庫象牙が海外に違法に輸出されている実情と、日本が実施する措置が違法な輸入にしか焦点をあてていない実態について指摘する、情報提供文書(SC74 Inf.18)が提出されるなど、日本の象牙取引の不充分な規制に対し世界的な注目が高まっています。

    自治体の取り組み:象牙取引規制に関する有識者会議

     

    一方で、海外からの指摘や、国の政策の改善が求められる中、象牙の日本からの違法輸出が発生している事態を重く受け止めた東京都が、自治体、そして国際都市としてなすべき対策を検討することを目的に、「象牙取引規制に関する有識者会議」を立ち上げました。

     

    この会議では、2020年1月より7回にわたって諮問が続けられ、最終回を迎えた2022年3月29日には、同有識者会議より都に対し、提言がまとめられました。

     

    その提言内容のひとつには、象牙取引がゾウの密猟や違法取引に寄与しないようにするため、都条例又はその他の効果的な方法を検討するよう求める内容が盛り込まれ、今後東京都として法的な枠組みを視野に検討が進められることが期待されています。

    アフリカゾウの密猟…日本に今必要なこと

     

    日本に存在する象牙は、過去に合法的に輸入したものであることから、現在起きている密猟には関係がないとの見解がありますが、こうした在庫を利用した国内市場から、海外へ違法に象牙が流出している事態は看過できるものではありません。

     

    また、こうした事態は、国際的な違法取引に寄与していること、そして、世界の象牙の違法取引の供給元となり、需要を喚起し、新たな密猟や違法取引を活性化させる可能性があります。

     

    象牙の国内市場の在り方や、自治体が先行して検討を進める日本の象牙取引について、一刻も早く国として対応をすることが必要です。

    ※本記事は公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)の発表資料を一部抜粋・編集したものです。

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