前回は、地域密着型M&Aアドバイザーの「成約率」が高い理由を説明しました。今回は、M&A実現後の「個人資産の管理」や「相続対策」の進め方を見ていきます。

経営者にとって「売って終わり」ではないM&A

M&Aは「売った、買った」で終わりではありません。売り手にも買い手にも、この先の人生や経営が待ち構えています。リタイアする売り手の社長には、一般に個人資産の管理や来るべき相続への備えといった相談が生じます。

 

例えば相続税対策として不動産を取得するといった相談もあれば、その不動産を管理するために、新たに個人の資産管理会社を設立したいといった要望もあります。

 

買い手の社長には、前輪の理念と後輪の経営目標という二つの確立や両者のバランスを図っていくことが求められるでしょう。

 

また社会的にも、相続税の増税や控除の縮小、個人の所得税の増税が既に決まっており、富裕層を中心にした課税強化や節税封じが進んでいきそうです。

会社と個人・・・トータルで相談できるアドバイザーを探す

今後はますます会社と個人の垣根を越えた、トータルでの相談が増えてくると思われます。法人と個人をトータルにしたライフステージの検討を行う。そのためには、ビフォーとアフターも含めた、長い付き合いと深い関係性の構築が必要になってきます。

 

単に事業承継やその一環としてのM&Aを取り持つだけではなく、より長いスパンで複合的な立場からのコンサルティングが必要とされるでしょう。

 

M&Aのアドバイザーを求める際、数カ月から数年の売買だけの付き合いと考えず、前後を含めたトータルでの相談が可能なアドバイザーを探していかれてはいかがでしょう。

 

豊かな老後資金を得ると同時に、従業員の雇用の継続や商号の維持といった精神面でも満足のいくM&Aを実現する。そのためには、十分な準備と同時に、個人と会社の垣根を越えてトータルでサポートしてくれるアドバイザーと付き合っていくことが近道なのです。

本連載は、2013年9月20日刊行の書籍『会社を息子に継がせるな』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

会社を息子に継がせるな

会社を息子に継がせるな

畠 嘉伸

幻冬舎メディアコンサルティング

現在、9割の中小企業経営者が後継者不在という問題を抱えています。息子がいない、いても“家業"に興味を示さない、あるいはオーナー社長が手塩にかけてきた会社を任せられるほどの才気がない。だからといって、廃業を選んでし…

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