社会問題となっている、働かず、家にいても家事さえしない「ニート」と呼ばれる人たち。20~30代の若年層も多いですが、その上の氷河期世代でもその数は多く、社会問題となっています。なぜ彼らは働かないのか。その実態を厚生労働省などの資料から紐解いていきます。
氷河期世代の「ひきこもり」…未来さえも描けない、酷い実態

「若年無業者」より酷い!?「氷河期世代」の実態

前述の「若い世代のニート」同様、問題視されているのが、若年無業者よりひとつ上の世代といえる氷河期世代。

 

内閣府によると、40~64歳までのひきこもりは60万人ほどいて、それより下の層のひきこもりよりも多いといわれています。そしてその中心となるのが、現在40代である氷河期世代なのです。

 

40~64歳までのひきこもり60万人のうち、4人に1人が40代前半で、さらにその3割が就職活動期となる20代前半にひきこもり状態になったといわれています。

 

氷河期世代は、一般的に1993年から2005年卒の人たちで、大学卒であれば2022年に40歳~52歳になる人たち。1993年から2005年まで、有効求人倍率は1を上回ることはなく、希望の職につくことが非常に困難だった時代です。

 

うまくいかない就職活動を機に、そのままひきこもりに……それからかれこれ20年。こうなると、社会復帰も困難です。さらに希望の仕事でなくても就職したとしても、思いとはかけ離れすぎて退職。当然、再就職は難しくフェイドアウト……そういうケースも多くありました。

 

パートやアルバイトなど、非正社員でも社会で出ようとした人たちもいました。文部科学省『文部科学統計要覧・文部統計要覧』によると、1996~2006年には、大学卒業者のうち、1万人以上が「一時的な仕事」に就くしかありませんでした。しかしこのような人たちは、20~30代前半で企業が求めるキャリアを積んでおらず、雇用環境が改善したころに正社員を目指そうとしても、そのハードルの高さを実感。いまなお、非正社員に甘んじている人が多いのです。

 

【「大学卒業者数」と「一時的な仕事に就いた者」の推移】

2006年  558,18人/12,039人

2005年  551,016人/12,061人

2004年  548,897人/12,412人

2003年  544,894人/25,255人

2002年  547,711人/23,205人

2001年  545,512人/21,514人

2000年  538,683人/22,633人

1999年  532,436人/16,023人

1998年  529,606人/11,957人

1997年  524,512人/10,738人

1996年  512,814人/10,514人

 

出所:文部科科学省『文部科学統計要覧・文部統計要覧』より作成

 

ニートといっても、積極的にニート状態の人もいますし、何となくニート状態の人、ニートから抜け出そうと試みている人、さまざまです。そしてどんなに支援を厚くしても、ニート状態にある人は社会から孤立していて、サポートが届かない環境下にいるケースが多いといいます。そのような人をいかに見つけ、社会と接点を持たせるか。問題解決までのハードルは、非常に高いものになっています。