将来、年金はいくらもらえるのだろうと、不安に考える人は多いでしょう。もし今の年金制度が崩壊し、「年金ゼロ」になったとしたら。最悪の事態でも生きるためにいくら必要か、考えてみましょう。
夫婦の平均年金21万円だが…「老後は貯蓄だけで生きる」ためにいくら必要か?【シミュレーション】

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年金が1円もありません!「無年金者」は全国で55万人

よく2階建てに例えられる日本の公的年金。20歳から60歳までのすべての日本国民が加入する国民年金と、会社員や公務員が入る厚生年金で、自営業であれば国民年金(老齢基礎年金)だけが支払われ、会社員や公務員であれば国民年金に上乗せする形で厚生年金(老齢厚生年金)が支払われます。制度的には日本人であれば、少なくても国民年金だけは手にできるはずです。

 

しかし、その国民年金さえも手にしてない人がいます。原因のひとつが払込期間が規定に達していないこと。生活苦で意図的に保険料を納付していなかった、そもそも払う意識がなかった、海外生活が長かった、などの理由で、払込料期間が10年(120ヵ月)に満たなかったため、年金を手にすることはできないというわけです。

 

厚生労働省『後期高齢者医療制度被保険者実態調査』(2020年)によると、無年金者は全国で55万1,907人。全体の3%になります。

 

【年齢別無年金者数】

65~69歳:28,456人

70~74歳:29,763人

75~79歳:167,350人

80~84歳:131,045人

85~89歳:9,7429人

90~94歳:61470人

95~99歳:29,894人

100歳以上:6,500人

 

出所:厚生労働省『後期高齢者医療制度被保険者実態調査』(2020年)

 

無年金者の多くは、働けなく、生活も困窮していることが多く、生活保護を受けることになります。一方で国は、「年金受給に必要な保険料納付期間を25年から10年に短縮」したり、「納付免除制度」などを整備したりして、あの手この手で、無年金対策を行っています。

 

また現役世代であれば、60歳から70歳まで国民年金に任意で加入ができるので、もし加入期間が規定を満たしていないなら利用するのも手です。同様の制度は厚生年金においてもあります。

 

しかしこのような対策で、払い忘れや手続きし忘れによる無年金は防げることはできても、困窮によって保険料を払えない、ということに対してはなかなか対応はできないでしょう。