資産形成の第一歩は家計を知ることから。今回みていくのは「卵の消費額」。食卓には欠かせない食材のひとつですが、地域ごとの支出額を総務省『家計調査』から紐解いていきます。
都道府県「卵の支出額」ランキング…物価の優等生に押し寄せる、価格高騰の危機

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スーパーでお馴染み…鶏卵最大手が経営破綻

先日、「森のたまご」や「伊勢の卵」などで知られる、鶏卵最大手のイセ食品が経営破綻しました。国内シェア10%を占めるだけに、食卓への影響が心配されましたが、当面、事業の継続に問題はないということで、ひとまずは安心です。

 

余談ではありますが、21年6月末までイセ食品の会長兼社長だった伊勢彦信氏は、世界有数の美術品コレクターとして知られています。イセ食品グループの法人が所有する美術品は、「パブロ・ピカソ」「ポール・セザンヌ」「マルク・シャガール」など、100億円を超えるといいます。コレクターにとっては、これらの美術品の今後も気になるところです。

 

さて、スーパーに行けば必ず買うという人も多い卵。「物価の優等生」と呼ばれていることは多くの人が知るところです。一般社団法人日本養鶏協会『鶏卵価格の年次別月別推移』によると、年によって上下はあるものの、全体としては見事なまでの一定水準。

 

なぜここまで卵は安価に流通を維持できるのでしょうか。それはケージ飼いによる生産性の向上、鶏卵場の機械化、流通の合理化など、努力の賜物だといえます。

 

ただ、昨今、アニマルウェルフェアの広まりで、ケージ飼いが問題視され、「卵=安価」「卵=いつでも同じ値段」ではいられなくなる、転換期にきているという指摘もあります。

 

アニマルウェルフェアとは、「動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心的状態」のこと。家畜を快適な環境下で飼養することにより、家畜のストレスや疾病を減らすことが重要とし、それが結果的に生産性向上にも繋がるというものです。農林水産省としても、アニマルウェルフェアの考え方を踏まえた家畜の飼養管理の普及に努めるとしています。

 

いますぐ、というわけではありませんが、ストレスのない鶏が産んだ卵のほうが美味しいと、放し飼いなどでとれた卵が主流になるかもしれません。そのときには「卵=いつでも安価」という食材ではなくなっているかもしれません。