既存ワクチンの「限界」露呈…待たれる「次世代ワクチン」開発 (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するマーケットレポートを転載したものです。

 

<今日のキーワード>

新型コロナウイルスのオミクロン型が、世界で猛威を振るっています。これまで比較的感染が抑えられていた日本でも、主なウイルスがオミクロン型に置き換わった後に感染が急拡大し、この冬のピーク時に1日の新規感染者が全国で10万人を超えました。こうしたオミクロン型の爆発的な感染拡大の理由として、ウイルス自体の感染力だけでなく、既存ワクチンがオミクロン型には効きづらいことが指摘されています。

露呈する既存ワクチンの限界

■現在主に使用されている新型コロナの既存ワクチンは、「スパイクたんぱく質」と呼ばれるウイルスの表面にあるとげ状の突起に対して免疫反応が起こるよう作られています。しかし、オミクロン型はこの「スパイクたんぱく質」の32ヵ所で変異が起こっているため、既存ワクチンが効果を発揮し難いことが指摘されています。

 

■英国健康安全保障庁(UKHSA)が行った調査では、既存ワクチンを2回接種してもオミクロン型感染者の発症や入院を減らす効果はデルタ型に比べて顕著に低いこと、また、3回目のブースター接種を行ってもデルタ型ほどには効果が出ないことが報告されています。

 

(注)データは2022年2月24日付。 (出所)英国健康安全保障庁のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
ファイザー製ワクチン(BNT162b2)の発症予防効果 (注)データは2022年2月24日付。
(出所)英国健康安全保障庁のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)データは2022年2月24日付。 (出所)英国健康安全保障庁のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
既存ワクチン合算の変異種別有効性比較(単位:%) (注)データは2022年2月24日付。
(出所)英国健康安全保障庁のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

「次世代ワクチン」開発が積極化

■世界保健機関(WHO)はオミクロン型について、既存ワクチンでも入院や死亡を減らす一定の効果があるとの見方を示しています。しかし、新型コロナ感染の主な変異種がオミクロン型に置き換わった国や地域では、ワクチン接種を終えている人が感染・発症してしまう、いわゆる「ブレークスルー感染」が多発しています。こうした状況を改善するため、世界の大手製薬会社はオミクロン型に効果を発揮する「次世代ワクチン」の開発を積極化させています。

 

■既存ワクチンの主な供給メーカーである米ファイザーや米モデルナは、オミクロン型に効果を発揮する「次世代ワクチン」の治験を既に開始しています。また、英グラクソスミスクラインは独キュアバックと共同で、複数の変異種に効果がある汎用型の「次世代ワクチン」の開発に取り組んでいます。

オミクロン型対応の「次世代ワクチン」は登場間近、ただし万能型の開発はハードルが高い

■ファイザーのオミクロン型に対応した「次世代ワクチン」は、当局による使用認可はまだ受けていませんが、既に生産が開始されている模様です。一方、モデルナはオミクロン型対応の「次世代ワクチン」と既存ワクチンを組み合わせた、いわゆる「2価ワクチン」を開発中ですが、今年秋には供給が始まるものと期待されています。

 

■オミクロン型に対応した「次世代ワクチン」の開発は順調に進んでおり、登場は間近と言ってよさそうです。一方、未知の変異種にも効果を発揮する「万能型・汎用型」のワクチン開発についてはハードルが高く、いまだ実用化が見通せない状況にあります。今後も新型コロナウイルスは変異を繰り返しながら、感染力や免疫反応を回避する能力を高めていく可能性が否定できないため、人類とウイルスのイタチごっこは当面続くものと思われます。

 

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『既存ワクチンの「限界」露呈…待たれる「次世代ワクチン」開発』を参照)。

 

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