非対称的な中露経済関係
ロシア経済との関係はより重要だ。マクロ的には、欧米の制裁が強化されると、ロシア経済が一定の打撃を受けることは間違いないが、各国経済が相互依存を強めている現状、結局それは、欧米も含めた世界経済全体に負の影響が及び、中国経済にとっても、その外部環境が全体として悪化することを意味する。
たとえば、ロシアの外貨準備は2014年3月約5,000億ドルで比較的潤沢(15-20ヵ月の輸入額に相当)と言えるが、その大半は米ドルやユーロで保有されており、制裁で外貨資産凍結となると大きな影響を受ける。またロシアは2013年約2,000億ドルの貿易黒字を記録しているが、その70%以上を対EU貿易で稼いでおり、制裁によってEUとの貿易が縮小すると、赤字を記録している対中貿易の支払いにも影響してくる。
他方、経済の相互依存が強まっているだけに、欧米としても、以前のように、単に政治的な観点から一方的に経済制裁を科すことは、自らへの影響も考えると難しくなっており、制裁は一定範囲に止まる(止まらざるを得ない)とも考えられる。
中ロ経済関係を改めて整理すると、まず貿易について、2013年習主席訪ロの際の共同声明で、両国貿易量を15年1,000億ドル、20年2,000億ドルにまで増加させていくとの目標が示されたが、昨年実績は約892億ドルとほぼ前年並みで、目標にはなお道半ばだ。
共同声明では貿易構造の多様化もうたわれたが、中国がもっぱらロシアからエネルギーを輸入し、ロシアに消費材や工業製品を輸出する構造に変化はない。2012年対ロ輸入のうち、原油・石油製品の割合は60%以上にのぼる一方、対ロ輸出のうち65%が電気機器・ハイテク製品類、24%が衣類等消費財関連だ。
またロシアにとって中国は最大の貿易相手だが、中国にとってロシアの比重はそれほど大きくない。直接投資についても、中国の対外投資に占めるロシアの割合は0.9%、香港等を通じる迂回投資の調整をしても2013年末2.4%で(Heritage Foundation推計)、シェアは横ばいだ。同推計によると、13年末対ロ投資残高185億ドルのうち、半分以上の98億ドルがエネルギー分野への投資である。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
注目のセミナー情報
【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』
【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!