早期優遇退職制度…いくらあれば申し込んでも安心か?
厚生労働省『平成30年就労条件総合調査』によると、早期優遇退職制度を利用した際の退職金は平均2,326万円。勤続年数が35年を上回ると平均2,500万円を超えます。
さらに企業規模別にみていくと、従業員1,000人以上企業よりも従業員300人以下、ある程度の規模の中企業のほうが、早期退職優遇の場合の退職金は平均値が高い結果になりました。
【勤続年数別「早期優遇退職者」の退職金】
勤続20~24年:1,402万円
勤続25~29年:1,995万円
勤続30~34年:2,522万円
勤続35年以上:2,530万円
【企業規模別「早期優遇退職者」の退職金】
従業員30~99人規模:861万円
従業員100~299人規模:2,521万円
従業員300~999人規模:2,090万円
従業員1,000人以上規模:2452万円
出所:厚生労働省『平成30年就労条件総合調査』より作成
総務省『家計調査 家計収支編』(2021年)によると、世帯主50代前半世帯の「消費支出」は35万4,494円、50代後半で32万8,461円、60代前半で30万3,485円です。仮に50歳で早期優遇退職制度に申し込み、公的年金を受け取るまで約15年間あるとしましょう。単純計算、消費支出は5,918万円に達します。退職金+貯蓄で、この数字が見えてくれば、早期退職実現への第一関門はクリアとなります。
次に公的年金を得るようになってからの生活もみていきましょう。仮に65歳以降、夫婦ともに無職だとすると、月々の収入は23万6,576円、そのうち公的年金は21万5,603円。それに対して消費支出は22万4,436円で、毎月1万8,528円の赤字。夫婦で35年間生きたとしても、赤字額は780万円となります。
つまり単純計算で7,000万円近くの生活費を見通せたなら、50代で早期退職し、その後、働かなくても生きていけるということ。これだけの保障があれば、安心して早期退職優遇制度に申し込めるでしょう。
もちろん、ライフスタイルは人それぞれ。必要となる金額も、この通りというわけにはいきません。それでも、50歳で1億円の特別加算金。たとえ、その段階で貯蓄ゼロでも「安定した老後は約束されたもの」といえるでしょう。
今回のフジテレビの早期退職者のニュース。先行き厳しい業界の現状が問われるよりも、退職金そのものに羨望の眼差しが向けられています。