(※写真はイメージです/PIXTA)

暗号資産の確定申告では、損益計算を行い正確な利益額を算出する必要があります。正しい知識を持たないまま、エクセル等の表計算ツールを使って自己流で計算して確定申告を行う方も多く見受けられますが、自己流の計算にはリスクが伴うため注意が必要です。ここでは「自己流の計算」をおすすめできない理由について、株式会社Aerial Partnersの代表取締役・沼澤健人氏が解説します。

エクセルを使った「自己流」はおすすめできない理由

さて、暗号資産投資家の中にはエクセルを使って自己流で計算する方も多くいらっしゃいますが、正しい知識を持たないまま計算することはおすすめできません。

 

それはなぜなのか。理由を3つご紹介します。

 

■正確に実施することが難しい

 

暗号資産の利益の計算は「取引所の口座に入金した金額と取引所の口座から出金した金額の差額」といったような、単純なものではありません。

 

暗号資産取引で利益が発生するのは、ビットコインを売却して日本円を得たときだけでなく、暗号資産で商品を購入したときやレンディング・ステーキング報酬を受け取ったときなど、様々なタイミングがあります。

 

また、暗号資産取引においては複数の取引所やウォレットサービスを並行して利用することが多く、その場合は取引履歴のフォーマットやタイムゾーン等が異なるためデータの管理が煩雑になります。

 

正しい知識を持たないまま損益計算・確定申告を行うと、仮に将来税務調査が入った場合、過少申告などを指摘されるリスクがあります。税務調査で指摘された場合、加算税や延滞税などの罰則を受けることもあるため注意が必要です。

 

■間違えると翌年以降の計算に影響が出る

 

上述したように、計算した通貨の平均取得単価は翌年に引き継がれるため、平均取得単価の計算が間違っていると、翌年以降の計算結果も実際の利益額と異なったものになる場合があります。

 

翌年以降も正確に計算を行うためには、毎年正確に計算を実施し年末時点で保有している通貨の平均取得単価を把握しておく必要があります。

 

■移動平均法・総平均法の2種類の計算を行うと手間がかかる

 

暗号資産の税金計算は国税庁より、移動平均法と総平均法の2種類の計算方法が認められています。

 

2つの方法はどちらも暗号資産の単価計算をする方法ですが、以下の違いがあります。

 

  • 移動平均法
     

暗号資産の購入の都度、取得単価を計算するため、税金の予測や所得の見積もりを把握しやすい計算方法です。経済的な実態に即した計算方法ですが、計算が煩雑になるデメリットがあります。

 

  • 総平均法

年間の購入取引を把握すれば計算できるため、移動平均法に比べて簡単な計算方法です。一方、年度が終わらないと取得単価がわからず、税金の予測や所得の見積もりができないデメリットがあります。

 

確定申告を行う際はどちらかの計算方法を選択する必要があるのですが、両方の計算方法を正しく理解し、自分で計算を行うというのは税理士にとっても大変な作業です。

 

特に移動平均法については複雑になるケースが多く、エクセルなどで数式を作成するのはかなりの時間を要するでしょう。

次ページでは、「暗号資産の税金計算」を正しく行うには?

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