60歳から老後資金を用意するためには、定年後も長く働くことが大前提になります。しかし、60歳以降は再雇用となりますから、仕事内容がほとんど変わらないのに収入は半減してしまいます。では、どうしたらいいのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの長尾義弘氏が著書『運用はいっさい無し!60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)で60歳から老後資金を貯める働き方を解説します。
「大企業の部長でした!」も通用しない…60歳からの無残な給与額 (※写真はイメージです/PIXTA)

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60歳以降も意欲を持って働くために

60歳から老後資金を用意するためには、長く働くことが大前提です。といっても、60歳以降は再雇用となりますから、収入が半減するのは目に見えています。

 

独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、約8割の企業は定年前後で仕事内容がほとんど変わらないという結果が出ています。にもかかわらず、給与は大幅に減ります。

 

これではやる気が出ないのも当然です。再雇用になった人からは、「まったく権限がない」「誰からも期待されていない」といった声が多数上がっています。

 

でも、不満たらたら、やらされ感ありありの態度は、周囲から敬遠されます。文句ばかり言っているとお荷物扱いされ、ますます面白くないでしょう。

 

どうせ働くなら、やりたい仕事を見つけて、楽しく働きたいと思いませんか。

 

「そんなことを言ったって、そもそも仕事はあるの?」と、疑う人もいると思います。

 

たしかに、60歳以降の求職は限られてきます。しかし、ないわけではありません。ここはマインドチェンジが必要です。過去の肩書きに縛られているようでは、仕事は見つからないかもしれません。やれる仕事とやりたい仕事のミスマッチングが起きるからです。

 

60歳以降の働き方を難しくしている一因は、日本特有のメンバーシップ型雇用にあるのではないかと考えます。

 

メンバーシップ型雇用とは、終身雇用・年功序列・新卒一括採用という日本の多くの企業が採用しているスタイルです。就職したあとは、部署の異動、転勤などジョブローテーションを経てキャリアアップしていきますから、組織に帰属した働き方が求められます。数年で部署が変わるため、いろいろと器用にこなせる社員が多い半面、専門性は乏しくなります。

 

メンバーシップ形雇用の対極にあるのが、ジョブ型雇用です。こちらは、あらかじめ決まっている業務内容、求める能力によって採用します。ですので、配置転換などはできません。また、その業務がなくなれば、契約が解除されることもあります。ジョブ型雇用は欧米によく見られるスタイルです。

 

一長一短があり、どちらが優れているかは一概に言えません。ただ、ジョブローテーションを繰り返して定年を迎えた人は、自分ではなんでもできると思っているかもしれませんが、逆になにもできない人になっているかもしれません。

 

60歳以降は専門性がないと、いい条件での求職が難しくなります。

 

元部長、元課長といった肩書きにこだわっていたら、さらに求職の道が狭まります。就職できたとしても、自分より若い人から指示を受けたり指導されることに抵抗を持っていては、新しい職場でうまくいきません。

 

自分は一兵卒からやるという気持ちが大事です。

 

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