貯蓄ゼロでは老後資金の問題を解決できません。少しでも貯蓄ができるように工夫をする必要があります。節約はその第一歩です。節約から貯蓄の流れに成功したら、次の道が開けます。老後資金を増やす手立てが打てるようになります。ファイナンシャルプランナーの長尾義弘氏が『運用はいっさい無し!60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)より、60歳から老後資金を始める裏ワザを明かします。
「iDeCo」と「つみたてNISA」を併用、老後資金づくりを加速するワザ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

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税制優遇が大きい「iDeCo」とは?

本連載では貯蓄ゼロの話ばかりしていますが、この状態はけっしてよくありません。何かトラブルが起きたときのために、最低でも100万円の余裕資金を持っておくことが重要です。

 

少しでも貯蓄ができるように工夫する。節約は、その第一歩です。

 

節約から貯蓄への流れに成功したら、次の道が開けます。老後資金を増やす手立てが打てるようになるのです。「iDeCo」や「つみたてNISA」といったお得な制度を利用し、賢く積み立てていきましょう。

 

iDeCoは商品名ではありません。iDeCo(個人型確定拠出年金)という制度を使って、投資信託などの運用をするしくみです。ですので、まず金融機関でiDeCo口座を開きます。会社員が老後資金を貯める場合、iDeCoは最適な方法です。なぜなら、3つの税制優遇があるからです。

 

1つ目は、掛金が所得税・住民税の控除の対象になること。

 

たとえば、毎月2万円を運用したとします。年間では24万円です。所得税が10%ならば、住民税と合わせて20%の控除ですので、4万8000円の税金が戻ってきます。

 

2つ目は、運用益に税金がかからないこと。

 

運用がうまくいったときは利益が出ますが、通常は20.315%の税金がかかります。iDeCoであれば、この税金が引かれません。

 

3つ目は、受け取るときの税金が安くなること。

 

積み立てたお金を一時金で受け取る場合は、退職所得控除が使えます。また、年金形式で受け取るときは、公的年金等控除を使うことができます。

 

これだけ税金が優遇される制度はほかにないので、ぜひ活用してほしいと思います。

 

デメリットは、60歳まではお金を引き出せないことです。でも、だからこそ、老後資金を強制的に貯めるにはうってつけだとも言えます。

 

iDeCoは会社員、自営業者のどちらにもオススメです。

 

iDeCoに加入できる人は20歳から60歳未満でしたが、2022年5月以降は、上限が5年延びて65歳未満になります。60歳以降も掛金の積立ができます。条件は国民年金の被保険者です。会社員は雇用延長などで厚生年金に加入していれば、自動的に国民年金の被保険者になっているので大丈夫です。

 

なお、掛金の上限は条件によって異なります。第1号被保険者は月額6万8000円、第2号被保険者で会社に企業年金制度がない人は月額2万3000円、企業年金制度がある人は月額2万円、第3号被保険者は月額2万3000円です。下図を参照してください。

 

出典:長尾義弘著『運用はいっさい無し!60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)より。
【図1】iDeCoの加入資格等 出典:長尾義弘著『運用はいっさい無し!60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)より。

 

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