バラエティ番組のつくり方は変わってきた
■おもしろかったテレビの世界が、変わってきている
僕がお笑い芸人を目指したのは、小学生時代からずっと見てきたザ・ドリフターズの「8時だョ! 全員集合」、たけしさんとさんまさんの「オレたちひょうきん族」の影響です。テレビを見て、「やってみよう!」という気持ちになりました。
毎週、テレビを見るのが楽しみで、本当に腹を抱えて笑いました。「なんでこんなおもしろいんだ、テレビは」と感じていました。当時のテレビは、大きな影響力とパワーを持っていたと思います。そのときの気持ちのまま大きくなって、僕は「テレビの世界で仕事をしたい」と決意し、芸人になりました。
芸人の世界に入ってみたら、「あれっ?」と異変に気づきました。テレビの世界がだんだんしぼんでいっている、寂しくなっているのです。僕たちが子どもの頃に見ていたテレビ番組の豪華さ、華やかさ、「いいから、やっちゃえ、やっちゃえ」みたいなノリのよい感じがなくなっていきました。
気がつけば、コンプライアンスのようなカタカナ用語が横行しています。「えっ、僕が子どもの頃はもっと、元気があったよ?」と問われたら、「テレビは現在、そうなってきています」と答えることになります。
視聴者の方たちから「最近のテレビはつまんねぇ」「最近の芸人は全然大物が出て来ないな」というご批判をいただきますが、「おっしゃるとおり、そのとおりだ」と思います。今の状況からスターが出るというのは、僕たちも相当難しいなと感じています。
大物芸人の方たちは「昔テレビでああいうことをやったから、今も売れているんじゃないの!」と思いますが、今ではもうダメなんです。番組としてできないわけです。たとえば、お笑いの罰ゲームの一つにしても、「それは見方によっては、少しいじめに映るからよくないよ」ということになるわけです。
よくないというので、たくさんの番組、コーナーが消えました。いじめを助長する可能性があるというのです。おっしゃるとおりなのですが……。
「なんか難しいじゃないですか」と言われても、しかし現場の僕たちは「いじめ」とは思っていません。「いじってくれる」と感謝しているわけです。先輩と後輩に当たる僕たちは信頼関係ありきで、僕たちの世界はそれで成り立っているのです。
こういう考え方で、バラエティの仕事の仕方とか、つくり方を変えていっているわけです。ここ10年ぐらいテレビではずっと続いている番組づくりです。
ビビる大木