金融機関で不動産投資ローンを組む際のポイント
不動産投資ローンは「どこから借りるか」よりもその内容が重要です。いかに不動産投資家にとって有利な条件を引き出せるか、そして最終的に不動産投資を成功に導くためにローンを味方につけることができるか、ここに重点を置いたローン戦略が必要です。
不動産投資最大のメリット「レバレッジ」には金融機関の融資が必要
不動産投資では、頭金として充当するための資金として事前にある程度の自己資金を用意する必要があります。
そして、それ以上に大切なのが金融機関で組むローン(融資)ではないでしょうか。金融機関のローンを利用することで投資にレバレッジを効かせられるようになりますし、このレバレッジは不動産投資の大きなメリットだからです。
レバレッジとは「テコの原理」における「テコ」を意味する言葉です。例えば、1,000万円の手持ち現金だけで不動産投資を行い、年に5%の利益が得られるとすると、年間の不動産収入は50万円ということになります。
しかし、自己資金1,000万円に、金融機関からのローン9,000万円、合計1億円の資金でマンション1棟に投資を行い、同じく利回りが5%だったとすると、年間の不動産収入は500万円になります。
自己資金として投じたお金は同じ1,000万円なので、1,000万円に対して年間500万円の利益が得られるとしたら自己資金に対する利回りは50%になります。
もちろんローン返済や利払いもありますし、修繕なども発生するでしょうから、そのまま利益になるわけではありません。しかし、家賃収入をローンの返済に充て、自己資金の持ち出しが無い状態でマンションという資産を獲得し、ローン完済後には家賃もまるまる収入にできます。
このようにレバレッジを利用することによって、不動産投資では自己資金だけでは不可能だった何倍もの投資が可能になるのです。所有物件を担保にできるので、同様の方法で別の物件を買い増しすることで、財産規模を拡大し、資産と収入を大きく増やしていくことが可能です。
中古だからといって担保価値が低いわけではない
金融機関でローンを組む際のポイントは、いくつかあります。まず、その時の経済・金融動向は重要です。量的緩和の局面や低金利の状況、不動産市況が上昇傾向にある時は、金融機関は融資に積極的なので、ローンも組みやすくなります。
2つめのポイントは、お金を借りようとする投資家の信頼度、いわゆる「属性」です。たとえば、大企業の正社員や公務員などは社会的信用が高く、返済能力があるとみられます。
過去にクレジットカードの支払い遅延や借金の返済遅延といった金融事故を起こしていないことも大切です。過去に金融事故を起こしている情報があるのは、いわゆる「ブラックリスト」あつかいとなり、ローンを利用するのは極めて難しくなります。
3つめは購入物件の担保評価です。担保評価には、あなたの努力を反映できる余地があります。なぜなら、良い物件を選べば担保評価が高くなるからです。
他方、その時の経済・金融動向をあなた自身で変えることはできないでしょうし、属性を良くするにしても、なかなか簡単に転職などで状況を一変させることはできないでしょう。だからこそ、努力の余地がある物件探しには注力してほしいのです。
なお、中古物件は新築物件と比較して担保価値が低くなると一般的に思われがちですが、一概にそうともいえません。たとえば戸建て住宅の場合、建物部分の評価は、築年数や構造、広さで算出することが一般的なので、築年数の部分で中古は不利と考えられます。
しかし、中古マンションの場合、売買事例で評価されるケースも多く、流動性が高く取引実績の多い物件や、類似物件の取引事例など根拠に交渉すると、有利な条件を引き出せる可能性が十分にあります。
どの金融機関で、どんな条件で融資を受けるか
不動産投資ローンでは、担保価値に基づく融資総額のほかに、返済期間、金利などの条件がとても重要です。それは不動産の収益性やキャッシュフローに大きな影響を与えるからです。返済期間と金利条件の違いが、不動産投資の成否を分けかねません。
まず、少しでも自分の属性や購入物件の担保価値を高く評価してくれる金融機関を探すことが第一歩です。物件を提案してくれる不動産会社に、融資について相談してみると良いでしょう。
融資の受けやすさや金利などの条件は、金融機関とのマッチングを行ってくれる不動産会社によっても様々なので、インターネットからの情報だけでなく、セミナーや個別相談会などにも積極的に足を運び、自分の目と耳でしっかり見極めるようにしましょう。
不動産投資は長い期間にわたって行う資産運用であり、信頼できるパートナーが欠かせません。融資を受ける際のサポート体制や金融機関からの融資条件などの実績も、不動産会社を選ぶ際の大切な基準となります。
不動産会社のなかには「不動産投資会社」といって、不動産投資家を顧客として収益物件の開発や販売を行っている業者があります。
一般的な不動産会社と違って不動産投資会社は収益物件選びや賃貸経営のプロなので、そのための資金調達についても豊富なノウハウを有しています。より確実かつ有利な条件でローンを利用できるよう、不動産投資会社とのパートナーシップも大切にしましょう。