会社員の副業としても知られている不動産投資。多くは不動産ローンを活用してスタートしますが、金融機関は審査でどのようなところをみているのでしょうか。みていきましょう。不動産投資ローンの審査について、リズム株式会社の資産コンサルタント、山崎博久氏が解説します。
「わたし、お金借りられますか?」会社員が銀行に尋ねた結果

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審査で重視される属性とは

不動産投資ローンの返済原資は家賃収入であり、融資審査では投資物件の収益性や資産価値が検討されます。さらに、もし空室などで家賃が途絶えた時を想定し、属性と呼ばれる申し込み者本人の経済力や社会的信用度などが審査されます。

 

金融機関はこの属性が優良な人ほど長いローンをしっかり返済する力があると考え、融資の可否や年収に対して何倍の額まで融資するかを審査します。属性として審査される主な項目は以下のようなものがあります。

 

年収

年収は高いほどローン審査で有利になりますが、額の多い少ないだけでなく、将来的に安定しているかどうかも重視されます。年収は源泉徴収票や課税証明書の提出によって確認され、自営業者や個人事業主は過去数年分の確定申告書の提出を求められることもあります。

 

勤務先

勤務先は上場企業かどうかや資本金、規模などが調べられます。規模が大きく売り上げの多い方が有利ですが、年収と同様に将来的な安定性も重視されます。急激に高い売上を出しているより、長く安定した利益を上げてきた企業の方が有利な場合もあります。

 

職種

会社員は自営業者やフリーランスに比べ安定していると考えられ、良好な属性と評価されます。また弁護士などの士業や医師、公務員なども、倒産やリストラなどのリスクが少なく属性評価は高くなります。

 

勤続年数

現在の会社での勤続年数も判断基準になり、長く勤めていた方が有利です。頻繁に転職を繰り返していると評価が下がる場合もあります。また転職したばかりだと、一定の勤続年数をクリアするまで融資が受けられない場合もあります。

 

年齢

高齢になってから融資を申し込むと属性の評価が低くなるケースがあります。仮に定年間近の申し込み者に多額の融資をすれば、その後の返済に大きな不安が残るからです。また次項の健康上の不安も増加するため、若い年齢の方が有利と考えられます。

 

健康状態

不動産投資ローンは健康な人でないと申し込むことができません。返済中に申し込み者が死亡や高度障害となった際に融資完済に充てる「団体信用生命保険」に、特定の疾患があると加入できないからです。

 

保険に加入できない人に高額な融資をするのは金融機関にとって大きなリスクです。不動産投資ローンは健康な人が利用できるものなのです。

 

現在の借入

申し込む不動産投資ローンの他に、返済しているローンがないかも属性判断に影響します。いくら収入が多くてもすでに毎月多額のローン返済をしていれば、不動産投資の収益が減った時に返済が難しくなる可能性があるからです。

 

ただし、住宅ローンは、返済原資が異なるため不動産投資ローンの審査に大きく影響するとは限りません。しかし、そうした大きなローンを組む前の方が、希望に近い条件で不動産投資ローンを組みやすくなるでしょう。

 

過去の返済状況

過去のローンの返済状況も属性判断に影響します。自動車ローンやカードローンなどで滞納が繰り返されていれば、金融機関としても不動産投資ローンの返済に不安を感じるからです。

 

ただし、どのような滞納状態が審査で考慮されるかは金融機関によって異なるため、心配な方は一度相談してみることをおすすめします。