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コロナ禍でも高い収益率…イベント・ドリブン戦略とは
新型コロナ・ウイルスの世界的大流行(パンデミック)を背景に、ヘッジ・ファンド業界では、企業の買収・合併(M&A)戦略やディストレスト(経営破綻・破綻懸念企業への投資)戦略などが活発化している。
ヘッジ・ファンド・リサーチ(HFR)社の発表によると、2021年通年のHFRI500ファンド加重総合指数(FWC)は10.3%上昇となり、前年の11.8%上昇に続き、暦年としては2009年以来で3番目の高パフォーマンスとなった。
このうちイベント・ドリブン戦略は、2021年通年で13.1%上昇となり、2009年以来の高パフォーマンスだった。
イベント・ドリブン戦略とは、企業のM&A(合併・買収)、事業の切り離し、倒産や、株式指数への組み入れ(または除外)といった「イベント」を予想してポジションを取り、実際にそれらが起こった時の価格動向でポジションを解消して利益を確定する戦略。ファンドの運用者がアクティビスト(物言う株主)として、投資戦略を展開することもある。
2021年は特にアクティビズム戦略が寄与した。この戦略の特徴は、株価が割安に放置されているが、カタリスト(起爆要因)の創出により企業価値の改善が見込まれる株式への投資などに焦点を当てる。
HFRのケネス・J・ハインツ社長は、「株式ヘッジ、イベント・ドリブン、商品などの高ベータ戦略が主導して、ヘッジ・ファンドは2021年12月に好調となり、堅調なパフォーマンスで過去2年間を終えた。世界的な新型コロナ・ウイルスのパンデミックと検疫が始まって以来の極端なボラティリティ(変動率)と市場波乱をうまく乗り越えることができた」と説明した。