2022年も「さまざまなイベント」が市場を賑わせる
2022年も、新たな変異種オミクロン株の出現や都市封鎖(ロックダウン)など行動制限・対策による影響が、さまざまな業界において敗者と勝者を生み出すと予想される。
観光・航空・宿泊業界などへ打撃を与える半面、ハイテク・オンライン業界や医薬品業界などへは追い風になる可能性がある。
こうしたなか、企業価値の最大化を目指して、株式公開買付(TOB)による友好的/敵対的買収、株主提案とプロキシー・ファイト(株主総会での委任状争奪戦)、書簡・面談・対話、キャンペーン・報道、資本構成・経営体制の変革、ポイズン・ピル(毒薬条項)など防衛策といった話題が市場を賑わせる流れは、今後も変わらないと見込まれる。
海外では2021年に米マイクロソフト共同創業者ビル・ゲイツ氏によるフォーシーズンズホテル・チェーン取得や、英競合イージージェットによるハンガリー格安航空会社ウィズエアーからの買収提案拒否、欧州の投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズによるスペインのサッカーリーグへの出資報道と混乱などが伝えられた。
また、投資家が「英国には新型コロナと英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)両方の打撃を受け、魅力的な価値の企業が多い」という印象を持っていることから、英国ではM&A取引が2015年以来の高水準に近づいている。
日本国内でも、米投資ファンドのベインキャピタルが1月14日、大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツの全株式を米投資ファンドのローン・スター・グループに売却すると発表した。
一方、新型コロナによる流通網の混乱がサプライチェーンの問題を引き起こしており、自動車など一部大手製造業では、サプライヤー(部品供給企業)を買収する流れにもつながっている。
「イベント・ドブリン戦略」の勢いは今後も続きそう
これまでの世界的な低金利環境や金融機関による緩和的な融資姿勢は、ヘッジ・ファンドや企業によるM&A資金調達を容易にしてきた。
また一部の企業・投資家は、2007~2008年の米国サブプライムローンとリーマン・ショックによる金融危機後、レバレッジ(借り入れ)を大幅に削減した結果、強固なバランスシート(貸借対照表)を維持しており、株式交換によるM&Aの場合、自社株式を有効に活用することができるようになった。
さらに最近ではヘッジ・ファンドにとって、特別買収目的会社(SPAC)への投資は良好な選択肢ともなっている。
2022年もこうした環境は続き、イベント・ドリブン型のヘッジ・ファンドがアルファ(超過収益)を追求する流れは続くだろう。企業再生を目指すM&Aやディストレスト、およびアクティビズム戦略の勢いが継続すると見込まれる。
髙橋 文行
池田 祐美
くにうみAI証券株式会社
オルタナティブ・インベストメントプロダクト部
本稿執筆者が登壇&解説/WEBセミナー
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