コロナ禍で心の不調を訴える人が増えていますが、それは社会生活を支える公務員も同じ。総務省の資料からその実態をみていきます。
公務員「もう働けない」と悲鳴…2万人が心に不調を抱えるキツイ現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍…「心の不調」を訴える公務員が増加

公務員の給与に関して、妬みはあるものの、批判はコロナ禍以降、あまり聞こえてこなくなりました。やはり、逼迫する医療体制のなか、家に帰ることもできず、家族と会うこともできず……そんな姿を見る機会が増えたからでしょうか。

 

すべての公務員が、というわけではありませんが、激務の公務員にクローズアップされるごとに、むしろ同情の声が大きくなっていったように感じます。実際にハードワークなどにより、不調を訴える人も多いようです。

 

総務省『令和2年度地方公務員のメンタルヘルス対策に係るアンケート調査』によると、2020年度、メンタルヘルス不調*1による休務者*2(首長部局*3)は、2万1,676人。職員10万人あたり2,250となります。

 

*1 精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むもの

 

*2 1週間以上、病気休暇または休職すること

 

*3 地方公共団体の組織のうち、首長の指揮監督を直接受け、人事権が一般職員にまで及ぶ部局

 

休務者に男女の差は特にありませんでしたが、年代別では40代が最も多く、30代が続きます。役職では圧倒的に係員、民間企業でいえば平社員が多く、所得部署では保健福祉や生活文化に多い傾向にあります。

 

【公務員「休務者の年代」】

「10~20代」21.7%

「30代」24.5%

「40代」27.4%

「50代」24.3%

「60代以上」1.9%

 

【公務員「休務者の役職」】

「係員」72.5%(44.8%)

「係長級」18.4%(27.3%)

「課長補佐級」6.0%(15.5%)

「課長級以上」2.4%(12.3%)

 

【公務員「休務者の所属部署」】

「保健福祉」23.7%

「生活文化」23.2%

「土木・建築」13.6%

「財務・財政」10.1%

「産業振興」9.3%

「総務」8.8%

「環境」5.2%

「企画・政策」2.7%

「防災」1.1%

 

出所:総務省『令和2年度地方公務員のメンタルヘルス対策に係るアンケート調査』より

 

また休務に至った理由として多いのが「職場の対人関係」が60.7%のほか、「業務内容(困難事案)」42.8%、「本人の性格」が30.9%、「元々の精神疾患の悪化」28.0%、「身体面の体調悪化」20.2%と続きます。また「長時間労働」は7.1%でした。

 

*上位3つの選択制

 

一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会による『令和3年地方公務員健康状況等の現況』によると、「精神及び行動の障害」による長期病休者数は、10万人あたり2,794.6人。厚生労働省による調査と似たような結果となっていますが、時系列でみていくと、10年前の約1.5倍、15年前の約2.1倍になったとしています。

 

いま、社会全体で心のケアの重要性が叫ばれていますが、それは私たちの生活を支えてくれる公務員も同様。コロナ禍のような特殊事情下では公務員に負荷がかかり、休職者が増える懸念があります。そんなときこそ、きめ細かな対策が必要です。