大学入学共通テストの会場となる東京大学の前で受験生ら3人が切り付けられた事件。逮捕された17歳の男子生徒は、「俺は東大を受験するんだ!」と叫んだといいます。そもそも東大生は、なぜ東大を志望したのでしょうか。東京大学『学生生活実態調査』から紐解いていきます。
浪人しても入りたい…なぜ彼らは「東大じゃなきゃダメ」だったのか? (※写真はイメージです/PIXTA)

【関連記事】大学卒と大学院卒の微妙な差…進学の意味がない日本、低学歴化の危機

東大生が東大を志した理由とは?

1月15日午前8時半ごろ、東京都文京区の東京大の弥生キャンパスの正門前。受験生の男女2人と、72歳の男性が刺された事件、その速報に驚いた人も多いことでしょう。そして凶行に及んだのが、名古屋市在住の17歳の男性高校生と聞いて、さらに驚いたのではないでしょうか。

 

生徒は犯行前には「俺は東大を受験するんだ!」と叫んだと伝えられ、「勉強がうまく行かず死のうと思った」「去年から事件を起こそうと思っていた」などと話しているといいます。生徒が通っていた高校は、東大進学実績で全国トップレベルの進学校。そのようなところもセンセーショナルに報じられています。

 

そもそも現役の東大生は、なぜ東大を志したのでしょうか。東京大学が昭和25年から行っている『学生生活実態調査』から紐解いていきましょう。

 

調査によると、「中高一貫型の私立学校」の出身が53.8%と過半数。進学校と呼ばれるところがほとんどで、中学・高校の6年間のカリキュラムを5年間で終わらせ、残り1年は受験勉強に使われることが多いのが特徴です。校風はそれぞれですが、中学校入学当初から6年後の大学入学を視野にいれた教育を売りにしていることが多く、東大合格者の半数を占めるのも納得です。

 

また「東大に入学することをどの程度希望していましたか?」の問いには、「浪人しても東大に入りたいと思っていた」が52.9%。年度によって増減があり、2012年以降は微減しているとはいうものの、過半数が東大への並々ならぬ想いを抱いていることがわかります。

 

さらに「東大入学の動機」をたずねたところ(主なものを3つまで選択)、「社会的評価が高いから」が最も高く50.6%。「入学後に学部の選択が可能だから」が44.1%、「私大に比べて授業料が安いから」が32.1%と続きます。

 

【東京大学志望の動機】

「社会的評価が高いから」50.6%

「入学後に学部の選択が可能だから」44.1%

「私大に比べて授業料が安いから」32.1%

「将来の就職を考えて」30.9%

「難関を突破したかったから」29.7%

「スタッフ、設備が優れているから」22.0%

「東大の伝統や雰囲気にあこがれて」20.0%

「高校の先生や友人などの勧めで」17.5%

「親・兄弟・姉妹の勧めで」8.1%

出所:東京大学『学生生活実態調査』(2018年)より