ハッキングや誤送金による紛失…「暗号資産」のリスク
暗号資産投資において気をつける点は?
暗号資産のメリットについて説明してきましたが、やはり気になるのはデメリットや注意点でしょう。ここからは、暗号資産投資を行う上で気をつけるべき点を紹介していきます。
◆価格変動の大きさが痛手になる可能性がある
メリットとして説明した価格変動ですが、これは当然デメリットにもなります。現物取引だけ行っていれば投資した金額以上のお金を失うことはありませんが、レバレッジ取引などをしている場合は注意が必要です。
ほかの金融資産の投資においては大変珍しい、1ヵ月間で通貨の価値が半分になってしまったというケースも多々ありますので、慎重に投資することをおすすめします。
◆暗号資産の紛失のリスクがある
暗号資産取引を行っていると、自分または第三者の要因により、保有していた通貨を紛失してしまうことがあります。ここでは暗号資産を紛失してしまうケースとして代表的なものを紹介します。大切な知識ですので確認しておきましょう。
■ハッキングによる紛失
暗号資産投資のリスクとしてイメージしやすいのがこのハッキングではないでしょうか。
実は、暗号資産を動かしているブロックチェーン技術自体は安全性が高く、ビットコインのように分散管理が進んでいる暗号資産については、ハッキングされる可能性は低いといわれています。
この点、過去の取引所の巨額流出事件を例にとり、「暗号資産は安全性に乏しい」と考えている方も少なくないと思いますが、過去の取引所における流出事件はいずれも、ブロックチェーンの技術的な不備に起因するものではなく、取引所サービスを展開している個別企業のセキュリティ上の問題がハッキングにより顕在化したものです。
ハッキングに備えて個人でできる対策としては、セキュリティレベルの高い取引所を選んだり、暗号資産を複数の取引所に分散させて管理したりする方法が挙げられます。
また、個人のID・パスワードが盗難されると取引所にある資産をすべて盗まれてしまう可能性もあります。利用する取引所ごとに複数のパスワードを利用する、ログイン時の二段階認証を設定するなど、自分の資産を守るためにある程度の知識を身に着けておく必要があります。
国内においては、暗号資産の交換や媒介、預かり等のサービスを提供するためには金融庁認可の暗号資産交換業者となる必要があります。また、デリバティブ取引等のサービス提供にあたっては、第一種金融商品取引業免許を取得する必要があるため、サービス提供者も、ほかの金融事業者同様の厳しい管理体制を整備しなければならず、業界全体としての安全性は日々高まっているということを補足しておきます。
■誤送金による紛失
暗号資産取引では、自分が使っている複数の取引所間で通貨を移動させたり、第三者へ送金したりする機会が多くあります。この送金時に送付先のアドレスを間違えるとアクセス不可能になり、紛失してしまうので注意が必要です。
◆株式・FXと比較して税金面の課題が少なくない
暗号資産取引で一定の利益が出た場合は、確定申告を行い納税する必要があります。暗号資産取引によって発生した所得は、株式やFXと異なり雑所得に区分され、5%~45%の税率がかかります(住民税も含めると最大で約55%)。
また、確定申告を行うためには年間の損益額を計算する必要があるのですが、この損益計算が煩雑な作業です。Gtax等、損益計算を自動で行えるツールを利用すればある程度簡単に計算することができますが、確定申告を行う際は一定の手間と費用がかかることを事前に理解しておきましょう。
暗号資産投資を始める場合は?
暗号資産投資は大まかな技術の仕組みとリスクについて理解した上で始めましょう。様々な取引方法がありますが、まずは法定通貨で暗号資産を購入するため、国内の暗号資産取引所に口座を開設することが最初のステップとなります。
国内で暗号資産取引所サービスを提供する場合は金融庁に登録することが義務付けられています。こちらのページで確認できますので、取引所を選ぶ際には事前に確認しておきましょう。
【暗号資産交換業者登録一覧】
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kasoutuka.pdf
まとめ
暗号資産は、ビットコインが誕生して約13年間、最も投資パフォーマンスに優れたアセットクラスである一方、投資にあたっては最低限理解しておくべきリスクもあります。
次回以降は投資をするにあたって無視できない、「暗号資産にかかる税金」について詳しく解説していきます。
暗号資産への投資が、2022年以降のデジタルアセット市場の未来を考えるきっかけになれば幸いです。
沼澤 健人
株式会社Aerial Partners CEO