数字上では増えているように見える「男性保育士」。しかし、現役園長の山本良一氏によると、就職しても、すぐに転職や退職をしてしまう人が多いのだといいます。本記事では、山本氏の著書『明るい保育は未来を明るくする 「積極的保育」のススメ 』より一部を抜粋し、知られざる保育現場の現状について解説していきます。
なぜ「男性保育士」の離職率は高いのか…現役園長が語る現場のリアル (※画像はイメージです/PIXTA)

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離職率が高い「男性保育士」…保育現場の実態は

男性保育士は、数字上では少しずつ増えつつあるように思います。養成機関も男女共学になっているところが、この一〇年ほどの間に増えました。

 

約二〇年前には、周囲の理事長や園長先生から聞かされた男性保育士を採用しない理由は、給与体系が若年の女性中心に考えられているために昇給が伸びない、役職を用意できない職場状況なので採用できない、ということでした。

 

また以前、当園で採用した保育士(女性)や他園の園長先生から聞いた話では、同じ養成校の同期の男性卒業生は、保育士として就職しても、一年~三年目ぐらいで退職したり転職したりする人が多い、ということでした。

 

退職に至る理由はいろいろと考えられます。とはいえ、一年目もしくは三年目の時期になって、居心地が悪くなることがもっとも大きな理由であると思います。

「男性らしさを失ったら、採用した意味がない」

受け入れ側にも、男性保育士にも問題があるように思います。まず、男性保育士は新卒採用時に、「男性らしさを失ったら、園としては採用した意味がない」というようなプレッシャーを、受け入れ側の園からかけられている現実があります。

 

保育士という仕事柄、子どもの身のまわりの支援をまじめにやっていると、しだいにやさしくなり、男性らしさを失っていくということが起こってきます。すると周囲から冷たい視線を受けるようになって、居心地が悪くなってくるようです。

 

最初のうちは「男の先生だ」と言って子どもたちもよろこび、保護者からはめずらしがられるようですが、半年もするとめずらしさがなくなってきます。